エアスピード コンサル

エアスピード コンサルの概要

エアスピード コンサル（英語: Airspeed AS.65 Consul）は、イギリスのエアスピード社が開発した小型旅客機であり、第二次世界大戦後の1946年から1950年代にかけて生産されました。この機体は、戦時中に空軍向けの練習機として大量に生産されたエアスピード オックスフォードを基にしており、余剰機を利用することで旅客機へと改装されたというユニークな経緯を持っています。

歴史的背景

コンサルの生産は大戦直後から始まり、162機が製造されました。オックスフォードの生産は1937年から始まり、エアスピード社に加え他の企業も参与し、大量生産が行われました。エアスピード社は1940年頃から余剰機の改装計画を立てており、戦争が終結する1945年にはイギリス政府と買い戻しの交渉を開始しました。ここには完成機の他、組み立て中の機体も含まれていたことから、迅速な改装が可能となりました。

設計と特長

コンサルは、オックスフォードから改装される際に数々の変更が施されました。機体の両側面には新たな窓が追加され、コクピットと客席の間に仕切り板が設けられました。さらに、荷物入れとして機能する細長い機首に改造され、重心変化に伴う尾翼の調整も行われました。オックスフォード自体は8,800機以上が生産されたため、これらの余剰機は手頃な価格で市場に出回りました。コンサルはそのおかげで手頃な価格で販売され、英国だけでなく海外の小規模航空会社にも人気を博しました。

改装キットとバリエーション

エアスピード社はコンサルの改装キットを販売しており、工場生産時のオプションには救急搬送型やVIP輸送型が用意されました。また、興味深いことに、コンサルには軍用モデルも存在し、機関銃やロケット弾発射機を取り付けることが可能でした。

運用と市場展開

コンサルは、イギリスやアイルランド、アイスランド、ベルギー、マルタ、東南アジアを含む多くの国々で運用されました。例えばシンガポール航空や、今は無きマラヤ航空にとっては初の導入機種となり、いくつかの大企業もVIP輸送用にこの機体を導入しました。ただし、コンサルは木製の中古機であるため、積載量に限界があり、長期的な旅客輸送には向いていないという課題も抱えていました。

一方で、イギリスやニュージーランド、アルゼンチン、トルコといった国々では政府機関や軍がVIP輸送用としてコンサルを使用しており、以前にオックスフォードを運用していたため、その扱いには慣れていました。イスラエルでも1949年に11機のコンサルが購入され、オックスフォードと共に軍用練習機として使用されていました。

機体の現状

1960年時点では、世界中で少なくとも9機のコンサルが運用されていたとされています。エアスピード社に関する研究を行ったH.A.テイラーによると、コンサルはエアスピード社の民間機の中では唯一のビジネスとして成功した機種としても名前が挙げられています。これは、その独自の経緯と市場での受け入れられたことを示す重要な記録となっています。

このように、エアスピード コンサルは歴史的な背景や設計の工夫が光る機体であり、今もなお航空機産業の一部として語り継がれています。

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