エアリアル (アルバム)

ケイト・ブッシュの『エアリアル』は、2005年に発表された8作目のスタジオ・アルバムです。前作『レッド・シューズ』（1993年）から12年ぶりとなる待望の新作として、大きな注目を集めました。2018年には、ケイト・ブッシュ自身とジェームス・ガスリーによるリマスター版が再発売されています。

背景には、1998年に誕生した彼女の息子アルバート（バーティ）の存在があります。ケイト・ブッシュは、息子を公の場から遠ざけ、プライバシーを守りながら普通の幼年期を過ごさせたいと考えていました。その思いは、本作に収録された息子を讃える楽曲「バーティ」に込められています。

『エアリアル』は2枚組のアルバムとして構成されており、ディスク1は「ア・シー・オブ・ハニー（A Sea of Honey）」、ディスク2は「ア・スカイ・オブ・ハニー（A Sky of Honey）」と題されたコンセプト・アルバムとなっています。それぞれのディスクは、独自のテーマと音楽性を持っており、全体として一つの壮大な物語を紡ぎ出しています。

本作からの先行シングル「キング・オブ・ザ・マウンテン」は、全英シングルチャートで4位を記録。アルバム自体も全英アルバムチャートで3位に達し、ケイト・ブッシュにとって9作目の全英トップ10アルバムとなりました。また、ドイツのアルバム・チャートでも3位となり、1985年の『愛のかたち』以来となるトップ5入りを果たしました。オランダのアルバム・チャートでは初登場7位となり、『愛のかたち』以来20年ぶりのトップ10入りを果たし、合計33週にわたってトップ100圏内にとどまりました。

収録曲は以下の通りです。

ディスク1: ア・シー・オブ・ハニー
1. キング・オブ・ザ・マウンテン - "King of the Mountain" - 4:53
2. π〜円周率 - "π" - 6:09
3. バーティ - "Bertie" - 4:18
4. バルトロッツィ夫人 - "Mrs. Bartolozzi" - 5:58
5. 透明人間になる方法 - "How to Be Invisible" - 5:32
6. ジョアンニ - "Joanni" - 4:56
7. コーラル・ルーム - "A Coral Room" - 6:12

ディスク2: ア・スカイ・オブ・ハニー
1. プレリュード - "Prelude" - 1:26
2. プロローグ - "Prologue" - 5:42
3. 建築家の夢 - "An Architect's Dream" - 4:50
4. ペインターズ・リンク - "The Painter's Link" - 1:35
5. サンセット - "Sunset" - 5:58
6. エアリアル・タル - "Aerial Tal" - 1:01
7. サムウェア・イン・ビトウィーン - "Somewhere in Between" - 5:00
8. ノクターン - "Nocturn" - 8:34
9. エアリアル - "Aerial" - 7:52

本作には、数多くの才能あるミュージシャンが参加しています。ケイト・ブッシュ自身がボーカル、ピアノ、キーボードを担当し、ダン・マッキントッシュがギター、エリジロ・クインテイロがルネッサンス・ギターを演奏。さらに、ゲイリー・ブルッカーがハモンドオルガンとバッキング・ボーカル、エバーハルト・ウェーバーとジョン・ギブリン、デル・パーマーがベース、ピーター・アースキン、スチュアート・エリオット、スティーヴ・サンガーがドラムスを担当しています。ボスコ・ドリヴェイラとロビン・ジェフリーはパーカッション、リチャード・キャンベルとスーザン・ペルはヴィオール、クリス・ホールはアコーディオンを演奏しています。また、マイケル・ウッドが「A Coral Room」でボーカル、ロルフ・ハリスが「The Painter's Link」でボーカルとディジュリドゥ、バーティ・ブッシュが「Somewhere in Between」でボーカルとして参加。ロル・クレームとパディ・ブッシュはバッキング・ボーカルを務め、ビル・ダンが「Burtie」のストリングス・アレンジ、マイケル・ケイメンがオーケストラ・アレンジと指揮を担当し、ロンドン・メトロポリタン・オーケストラが演奏に参加しています。

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