エイブルフレンド

エイブルフレンド：香港競馬界の英雄

エイブルフレンド（Able Friend、歩步友）は、香港競馬史に燦然と輝く名馬です。オーストラリアでデビュー後、香港に移籍してからの活躍は目覚ましく、数々の重賞レースを制覇し、香港競馬ファンの心を掴みました。その圧倒的な強さ、そして惜しまれつつ幕を閉じた競走生活を振り返ります。

華々しい香港での活躍

2013年、オーストラリアから香港に移籍したエイブルフレンドは、すぐに頭角を現します。2014年の香港4歳馬シリーズでは、ライバルであるデザインズオンロームとの壮絶な死闘を繰り広げました。香港クラシックマイル制覇、香港クラシックカップと香港ダービーでは2着と、3戦全てで1、2着を両馬で分け合う接戦を演じ、高い競争力を示しました。

同年のチャンピオンズマイルでは惜しくも2着に敗れましたが、その後はまさに絶頂期を迎えました。ジョッキークラブマイルを快勝すると、香港マイルでは直線で驚異的な末脚を繰り出し、ゴールドファンに4馬身半の大差をつけて圧勝。この勝利により、香港競馬史上最高のレーティングとなる127という驚異的な数値を記録しました。

2015年もその勢いは衰えず、香港スチュワーズカップ、クイーンズシルヴァージュビリーカップ、そしてチャンピオンズマイルと3つの重賞を制覇。前年から続く連勝を6に伸ばし、香港競馬界に君臨しました。約580キロという巨躯から繰り出される強烈な末脚は、多くのファンを魅了し、「香港の英雄」と称されるまでに成長しました。香港マイル戦線では敵なしの状態となり、その強さは揺るぎないものと思われました。

ロイヤルアスコット遠征と挫折

2015年6月、エイブルフレンドは英国ロイヤルアスコットのクイーンアンステークスに挑戦。当時の欧州最強マイラー、ソロウとの対戦は世界中の競馬ファンの注目を集めました。しかし、当日は発汗が激しく、本来の力を発揮することができず6着に敗れてしまいます。この敗戦は、エイブルフレンドの強さを改めて印象づける結果となりました。

7月には、2014-2015シーズンの香港年度代表馬に選出されるなど、輝かしいキャリアを歩んできました。しかし、栄光の影には苦悩もありました。帰国後のジョッキークラブマイルでは3着に敗れ、香港での連勝記録は7でストップ。香港マイルでは1番人気に支持されましたが、モーリス、ジャイアントトレジャーに敗れ3着に終わりました。

屈腱炎との闘い、そして引退

レース後、軽度の跛行が見られ、精密検査の結果、屈腱炎を発症していることが判明。オーストラリアで療養に専念しました。2016年の復帰戦は4着。香港マイルでは1番人気に推されましたが、往年の末脚は見られず6着に終わりました。2017年には香港スチュワーズカップ3着、クイーンズシルヴァージュビリーカップ2着と健闘しましたが、屈腱炎の再発により、同年3月に現役を引退することとなりました。

香港競馬界に大きな足跡を残したエイブルフレンドは、引退後はオーストラリア・ニューサウスウェールズ州で功労馬として余生を過ごしています。その勇姿は、多くの競馬ファンの記憶に深く刻まれています。数々の名勝負、そして屈腱炎との闘い。エイブルフレンドの生涯は、まさにドラマチックなものでした。彼の活躍は、これからも語り継がれるでしょう。

もう一度検索