エイプリル・フール (バンド)

エイプリル・フール (Apryl Fool)

エイプリル・フールは1969年に活動を開始した日本のロックバンドで、前身は「ザ・フローラル」というグループでした。彼らは日本におけるロックシーンの中で独特の位置を占め、特にオルガンを中心にしたアレンジが特徴的でした。バンド名は結成日である4月1日に由来し、自由に活動していく意思を反映しています。

バンドの誕生と背景

1968年2月、アメリカの人気バンド、モンキーズのファンクラブから派生して「ザ・フローラル」が結成されました。このバンドは、当時のグループ・サウンズブームの中で注目を集め、商業的成功を収めることを目指していました。メンバーは小坂忠、菊池英二、柳田博義らで、衣装や楽器デザインはイラストレーターの宇野亜喜良によって手掛けられました。

1968年8月にはシングル「涙は花びら」でデビューし、その後も数々の楽曲をリリースしていきました。しかし、1969年に入るとグループ・サウンズの人気が低下し、メンバーの交代が避けられませんでした。

メンバーの交代と新たな方向性

1969年4月、ザ・フローラルはメンバーを一新し、新たに細野晴臣と松本零（松本隆）を加え「エイプリル・フール」として再出発しました。オルガンを中心とした音楽スタイルは、アイアン・バタフライやドアーズといった英米のアート・ロックの影響を受けています。彼らはブルース・ロックの流行が強まる中、ピアノやキーボードを前面に押し出した実験的なサウンドを追求しました。

彼らの楽曲は、時代の社会情勢や学生運動といった影響を受けており、抽象的でシュールな表現がなされています。歌詞は英語と日本語の両方で書かれており、松本隆が提供した曲には特に注目が集まりました。

音楽活動とエイプリル・フールの解散

エイプリル・フールは1969年にアルバム「APRYL FOOL」をリリースし、音楽的に活動を広げました。しかし、メンバー間の音楽的嗜好の違いから次第に亀裂が入り、解散の危機に陥ります。特に、細野・小坂・松本のアメリカン・ロック指向と、柳田・菊池のブリティッシュ・ロック指向が対立し、バンドは短命に終わります。

1969年10月には最後のライブを銀座の「ジャンク」で行い、その後は各メンバーが異なる音楽活動に転向しました。細野と松本はその後、はっぴいえんどを結成し、新たな音楽の道を歩むことになります。

ディスコグラフィ

エイプリル・フールの唯一のスタジオアルバム「APRYL FOOL」は1969年9月27日にリリースされ、ボブ・ディランのカバー曲や、日本語の曲も収録されています。また、映画「エロス+虐殺」のサウンドトラックも手掛け、その音楽的影響を広げていきました。

まとめ

エイプリル・フールは、日本のロックシーンにおいてアート・ロックやサイケデリック・ロックの要素を強く打ち出したバンドであり、多くの後進アーティストに影響を与えました。短い活動期間の中であったものの、彼らの音楽は今なお多くのファンに愛され続けています。

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