エウェ人

エウェ人は、アフリカのガーナからナイジェリアにかけての海岸部に居住する民族です。その歴史は、13世紀ごろにベナン南部からガーナやトーゴに居住域を広げたことに始まるとされています。

19世紀後半になると、エウェ人はイギリスとドイツによって分割統治されることになります。その後、第一次世界大戦でドイツが敗北すると、フランスが新たな統治者となりました。このような列強による支配は、エウェ人の民族意識を高めることとなります。

第二次世界大戦後、民族自決の波が押し寄せると、信託統治領となっていたトーゴランドでエウェ人統一運動が始まりました。しかし、1957年の住民投票によって、イギリス領トーゴランドのエウェ人居住地域はガーナへと合併されることとなりました。この結果は、エウェ人の統一への願いが完全に叶えられるものではありませんでした。

独立後、トーゴにおいては初代大統領シルバヌス・オリンピオがエウェ出身であり、与党トーゴ統一委員会(CUT)の実権を握りました。オリンピオはエウェ統一を目指し、ガーナのクワメ・エンクルマと対立しましたが、クーデターによって殺害されます。その後、ニコラ・グルニツキーのトーゴ進歩党(PTP)が政権を握りますが、彼もエウェ出身であり、政治の主導権は依然としてエウェ人が握っていました。しかし、閣内では北部人とエウェ人を中心とする南部人の対立が深まり、北部出身のニャシンベ・エヤデマによるクーデターを招くこととなります。

一方、ガーナではエンクルマ失脚後、エウェ人とガーナの主流を占めるアカン人の対立が表面化しました。首相となったコフィ・ブシアはエウェ人を敵視する政策を取り、ガーナの政情不安を招きました。このように、エウェ人はその居住地域において、政治的な変動に翻弄される歴史を歩んできたと言えるでしょう。

エウェ人の歴史は、外部からの影響と内部の対立が複雑に絡み合って展開してきました。列強による分割統治、民族自決運動の挫折、独立後の政治的対立など、様々な要因がエウェ人の運命を左右してきました。現代においても、エウェ人はそれぞれの居住地域において、独自の文化とアイデンティティを保持しながら、社会の一員として生活しています。

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