民族

民族とは

民族（みんぞく、英: Ethnicity）は、言語、文化、人種、歴史的運命を共有し、同族意識によって結びついた人々の集まりを指します。この概念は、エスニック・グループ、ネーション、トライブ、レイスといった複数の関連語に基づいています。

エスニック・グループ

エスニック・グループは、文化や習慣、宗教などによって特定される集団を指し、本記事での主要な扱いとなります。これらのグループは、歴史的な背景や社会的環境によって形成され、各集団は独自のアイデンティティを持っています。

ネーション

近代以降、社会の変革が進む中で、エリート層が民族運動を展開し、政治力を獲得する過程において、特定のエスニック・グループが「ネーション」として認識されるようになりました。このようにして、国家を形成し、国民という概念が生まれました。

トライブ

トライブは部族を意味し、自らの文化や言語を持つ小さな集団で、民族集団よりも小さい単位として理解されます。これらの部族は独自の伝統や社会構造を持ち、その文化的特徴によって他の集団と区別されます。

レイス

レイス（人種）は、一般的な用語であり、身体的特性や遺伝的背景によって区分されますが、稀に民族を指す場合もあります。人種も民族の理解において重要な要素です。

民族の定義

民族は、一定の文化的特徴を基準とし、他の集団と区別される集まりを意味します。この区別には、地域、血縁、言語、宗教、社会組織などが関与します。ただし、客観的な基準を設けても、概念は一様ではなく、主観的な帰属意識が概念形成に重要です。

津田みわは、民族の定義について本質論と構築論の2つの立場を提起しました。本質論では、血縁や身体的特性など、変えられない要素に基づいているのに対し、構築論では、個人の帰属意識や社会的相互作用が重要視されます。

分類方法

民族という概念は、非常に広範にわたり、さまざまな基準で分類可能です。最も一般的な分類方法は母語によるもので、言語の共通性による民族の特色を示します。また、生活様式による分類もあり、狩猟採集民族や農耕民族などに分かれます。

語源

「エスニック・グループ」の語源はギリシャ語の「エトノス」であり、文化的特徴に基づく共同体を指します。一方、日本語の「民族」は明治時代に新たに造られた用語で、当初は古い言葉の置き換えに過ぎませんでした。しかし、時が経つにつれ、民族という概念の解釈が多様化していきました。

関連用語

民族主義や民族自決、民族紛争といった関連するテーマもあり、これらは民族が持つアイデンティティと強く結びついています。また、民族性、民族料理、民族音楽といった文化的側面も重要です。

まとめ

民族という概念は、簡単には定義づけられない多層的なものであり、文化や歴史、社会的側面が絡み合っています。理解には、視点や文脈に応じた柔軟なアプローチが求められます。国や地域によってもその捉え方は異なり、また、個々の民族の持つ特色や背景も多様です。

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