エウスカルテル・エウスカディ

エウスカルテル・エウスカディ：バスクの誇りを胸に駆け抜けた自転車ロードレースチーム

エウスカルテル・エウスカディは、かつてUCIプロツアーに参戦していたスペインの自転車ロードレースチームです。その最大の特徴は、「バスク人の、バスク人による、バスク人のためのチーム」という理念を掲げ、長らくバスク地方出身の選手のみで構成されていた点にありました。チーム名は、メインスポンサーである通信会社エウスカルテルと、サブスポンサーのバスク州自転車基金エウスカディに由来します。

歴史

チームは1994年、石油会社ペトロノールをメインスポンサーとして「エウスカディ・ペトロノール」として誕生しました。その後、「エキポ・エウスカディ」への名称変更を経て、1998年にエウスカルテルがメインスポンサーとなり、「エウスカルテル・エウスカディ」として新たなスタートを切りました。

他の多くのチームが国際色豊かな選手構成を採用する中、エウスカルテル・エウスカディはバスク人選手に限定するという独自の路線を貫きました。これは、リーガ・エスパニョーラのアスレティック・ビルバオと同様、スポーツ界において特異な存在感を示していました。

2003年のツール・ド・フランスでは、アイマル・スベルディアが総合5位、イバン・マヨが総合6位と好成績を収めました。2007年には、サムエル・サンチェスがブエルタ・ア・エスパーニャで総合3位に入り、チームとして初めてグランツールの表彰台を獲得。さらに、サムエル・サンチェスは北京オリンピック男子ロードレースで金メダルを獲得し、チームに大きな栄光をもたらしました。

ツール・ド・フランスやブエルタ・ア・エスパーニャでピレネー山脈を通過する際、沿道はエウスカルテルのチームカラーであるオレンジ色に染まり、多くのファンが声援を送る光景は、チームの人気の高さを物語っていました。

しかし、2013年、チームは大きな転換期を迎えます。メインスポンサーのエウスカルテルが支援継続を表明したものの、UCIプロチームとして生き残るために多国籍化を図り、様々な国籍の選手を受け入れたことで、サブスポンサーの市民団体からの資金援助が困難になったのです。その結果、チームは2013年シーズン限りでの解散を発表。一時、F1ドライバーのフェルナンド・アロンソによるチーム買収が報じられましたが、交渉は決裂し、チームは解散という結末を迎えました。

なお、2020年シーズンから活動している「エウスカルテル・エウスカディ」は、名称こそ同じですが、別の組織であることに注意が必要です。

使用機材

チームは、オルベア社のフレーム「ORCA」に、シマノ社のコンポーネント「DURA-ACE」を組み合わせて使用していました。

2012年 チーム陣容

ゼネラル・マネジャー: ミゲ・マダリアーガ

チーム名称の変遷

1994年: エウスカディ・ペトロノール
1995年-1997年: エキポ・エウスカディ
1998年-2013年: エウスカルテル・エウスカディ

エウスカルテル・エウスカディは、その独自のチーム運営と、バスクの誇りを胸に戦う選手たちの姿で、多くのファンを魅了しました。その解散は惜しまれますが、チームの功績は、自転車ロードレースの歴史に深く刻まれています。

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