エキソヌクレアーゼVII

エキソヌクレアーゼVII (Exonuclease VII, EC 3.1.11.6)

概要

エキソヌクレアーゼVIIは、主に細菌細胞内に見出されるエキソヌクレアーゼと呼ばれるタイプの酵素です。この酵素は、核酸分子（DNAやRNA）の鎖の末端からヌクレオチド単位で加水分解する触媒機能を持っています。他の多くのエキソヌクレアーゼとは異なり、エキソヌクレアーゼVIIは核酸鎖の3'末端側および5'末端側という両方向から同時に作用できるという独特の特性を持っています。これは細菌の核酸代謝、特にRNAの分解やDNA修飾過程などにおいて重要な役割を果たしていると考えられています。生化学的な酵素分類コードとしては、EC 3.1.11.6が割り当てられています。

構造

この酵素は、複数の異なる種類のポリペプチド鎖が集まって形成される複合体酵素です。その構成は非常に特徴的であり、比較的大型のサブユニットが1つと、それよりも分子量が小さいサブユニットが4つ、合計で5つのサブユニットから成り立っています。これら大小2種類のサブユニットは、それぞれアミノ酸配列が異なる非相同な分子種です。この多種類のサブユニットからなる複雑な構造が、エキソヌクレアーゼVIIの基質特異性や両方向性といったユニークな機能性を発現するために重要であると考えられています。各サブユニットが互いに協調して機能することで、核酸分子の効率的な切断が可能となります。

機能詳細

エキソヌクレアーゼVIIが触媒する化学反応は、核酸鎖のエキソ型加水分解です。すなわち、核酸内部のホスホジエステル結合ではなく、必ず鎖の末端から一個ずつヌクレオチドを切り離していきます。この酵素の最も注目すべき機能は、この切断反応を3'末端から5'方向へ進める能力と、同時に5'末端から3'方向へ進める能力の両方を持っている点です。これにより、基質となる核酸分子の両端から同時に分解が進むことが可能となります。この両方向性エキソヌクレアーゼ活性の結果として、遊離される生成物は5'-ホスホモノ核酸、すなわちリン酸基が5'位に結合した個々のヌクレオチド単位となります。この両方向からの切断機能は、特定のRNAのプロセシングや分解経路において重要な意味を持つことが示唆されています。

サブユニットの機能的特徴

エキソヌクレアーゼVII複合体を構成するサブユニットの中でも、特に大型の単一サブユニットは、その機能において重要な役割を担っています。この大型サブユニットのポリペプチド鎖のN末端領域には、特定の立体構造を持つドメインが存在します。このドメインはOBフォールド（Oligonucleotide/oligosaccharide Binding fold）として知られており、その名の通り、オリゴヌクレオチドやオリゴ糖といった比較的小さな分子、特にここでは核酸分子との特異的な結合に関与する構造です。このOBフォールドドメインが核酸基質を認識し、酵素の活性部位へと適切に結合させることで、効率的な触媒反応が実現されると考えられます。このように、各サブユニットがそれぞれ異なる構造的特徴や機能的役割を持ちながら協調することで、エキソヌクレアーゼVIIは特徴的な両方向性ヌクレアーゼ活性を発揮しています。

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