エクスプレスウエスト

ブライトライン・ウェスト（旧エクスプレスウエスト）とは

ブライトライン・ウェストは、アメリカの民間企業によって計画されている高速鉄道プロジェクトです。当初は「デザートエクスプレス」という名称で、カリフォルニア州とネバダ州を結ぶ計画として始まりました。この計画は、増大する交通渋滞を緩和し、ラスベガスと南カリフォルニア間の移動をよりスムーズにすることを目指しています。

計画の変遷

当初の計画では、カリフォルニア州のヴィクターヴィルとネバダ州のラスベガスを結ぶ予定でしたが、その後、カリフォルニア側の起点をパームデールに変更し、さらにメトロリンクとの接続を考慮したランチョクカモンガに変更されました。この間、計画名はエクスプレスウエストからブライトライン・ウェストへと変更されています。

2023年現在、計画ルートはラスベガスからビクターバレーを経由し、ランチョクカモンガを起点とするものとなっています。総延長は約350kmで、途中駅としてビクターバレーとヘスペリアが設置される予定です。所要時間は約2時間を見込んでおり、大部分が州間高速道路15号線の上下線間の空間を利用して建設されます。

ランチョクカモンガ駅では、ロサンゼルス都市圏の通勤鉄道であるメトロリンクと接続し、ロサンゼルス中心部へのアクセスも確保されます。

計画の概要

ラスベガス周辺は人口が急増しており、ロサンゼルス方面を結ぶ州間高速道路15号線の交通渋滞が深刻化しています。このため、代替交通手段としての高速鉄道の必要性が高まっていました。

当初、中国との合弁企業による建設が計画されていましたが、アメリカの「バイ・アメリカン条項」を満たせないという理由で解消されました。その後、ブライトライン社が経営権を取得し、建設が進められることになりました。

計画では、最高速度320km/hで走行可能な専用線が建設され、2028年のロサンゼルスオリンピック開催に間に合うよう開業を目指しています。建設費用は約120億ドルで、その一部は連邦政府からの補助金で賄われる予定です。

技術と車両

ブライトライン・ウェストは、全線電化路線として建設され、ドイツのシーメンス社が製造するヴェラロシリーズの次世代型車両「アメリカン・パイオニア220」が導入される予定です。この車両は、ヨーロッパの高速鉄道で実績のある技術を基に、北米向けに開発されたものです。

競合する計画

この地域には、磁気浮上式鉄道の計画も存在しますが、コスト面で鉄軌道式が有利とされています。また、将来的にはカリフォルニア高速鉄道との接続も検討されています。

過去には、アムトラックがラスベガスまで列車を運行していましたが、現在は旅客列車が運行されていません。

今後の展望

ブライトライン・ウェストは、ラスベガスと南カリフォルニア間の交通を大きく変える可能性を秘めています。また、将来的にはアリゾナ州フェニックス、ユタ州ソルトレイクシティ、コロラド州デンバーへの延伸も検討されています。

主な出来事

2015年9月: エクスプレスウエスト社が中国のコンソーシアムと合弁事業会社を設立することで合意。
2016年6月: エクスプレスウエスト社が中国企業との合弁を解消。
2018年9月: ブライトライン社がエクスプレスウエスト社の経営権を取得。
2024年4月22日: 着工。

関連項目

最初の大陸横断鉄道
カリフォルニア高速鉄道
メトロリンク (南カリフォルニア)
バイ・アメリカン条項

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