エクセドラ

エクセドラの概念

エクセドラ（exedra）は、主に建築物の正面に設けられた半円形の空間を指します。一般的にはその上部が半ドームの形をしており、多くの場合、居心地の良い座席が配置されています。この用語はギリシャ語に由来し、「ドアの外の座席」を意味することからも、社交や哲学的な議論の場としての役割を示唆しています。

古代ギリシャにおけるエクセドラ

古代ギリシャでは、エクセドラは主に柱廊から入る部屋の中に設計され、湾曲した背もたれの高い石造りのベンチで囲まれていました。この配置は、哲学者たちが活発に議論や会話を交わす場として最適でありました。典型的なエクセドラは、曲線を描く壁に沿ってベンチが設けられており、これにより集団での交流が促進されました。また、独立型のエクセドラには青銅製の肖像彫像が配置されることが多く、古代ギリシャの文化や美術の一環として重要な役割を果たしました。

特にデロス島やエピダウロスなど、聖域や聖地にはエクセドラが見られ、古代都市国家のアゴラなどの公的な場所でもエクセドラが設けられました。これにより、訪れる人々は公共の討論や集会に参加しやすくなりました。

ローマ時代のエクセドラ

ローマ帝国の建築においてもエクセドラは頻繁に使用されており、特にネロのドムス・アウレアには多くのエクセドラが見られました。これにより、パーティルームの広さが増し、ローマ市民はその壮大さに驚愕したとされています。ローマの公共の建物においても、エクセドラは重要な役割を果たしました。その一例は、ギュムナシオンでの演説や議論が行われる場所であり、哲学者や雄弁家たちが集まりました。

バシリカでは、通常、入り口反対側に大きなエクセドラが存在し、政務官たちが裁判を行う際の傍聴場所として利用されました。このエクセドラは「tribuna」と呼ばれ、高く設計されていることがしばしばでした。

中世以降のエクセドラの変化

ローマ帝国の崩壊後も、エクセドラは様々な建築様式に取り入れられました。ビザンティン[[建築]]やロマネスク建築においては、エクセドラがアプスへと発展しました。特に後期ビザンティン[[建築]]では、エクセドラという用語が多様な構造に関連して使用されるようになり、二次的なアプスや壁龕を指すこともありました。有名な例としては、ドナト・ブラマンテが手がけたバチカン宮殿の「コルティレ・デル・ベルヴェデーレ」が挙げられます。

また、イスラム建築においては、エクセドラがミフラーブとして利用され、バロックや新古典主義の時代にも引き続きその影響が見られます。特にバロック期のエクセドラは、従来よりも小型化し、光と影の演出を巧みに行うための構造として用いられました。

新古典主義の建築ではロバート・アダムなどが室内にエクセドラを多用し、庭園にもエクセドラ状の壁が取り入れられるようになりました。18世紀には、これにより庭や景観の中に美しい区切りが創出されました。例えば、ベルトン・ハウスやウェスト・ウィコム・パークなどでもその例を見ることができます。

まとめ

エクセドラは古代から近代にかけて、さまざまな建築スタイルで利用されてきた重要な要素であり、文化的な交流の場として多くの歴史的意義を持っています。

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