バチカン宮殿

バチカン宮殿：教皇の住居と歴史

バチカン宮殿は、バチカン市国に位置し、サン・ピエトロ大聖堂に隣接するローマ教皇の住居です。その歴史は古く、当初は修道院や巡礼者のための宿泊施設、教皇の休憩所程度のものでした。教皇の住居は、アヴィニョン捕囚以前はラテラノ宮殿にありましたが、その後バチカン宮殿が教皇の主要な住居となりました。

歴史的変遷

バチカン宮殿は、カール大帝やオットー2世が滞在した記録があり、当時から一定の規模を持っていたと考えられます。教皇インノケンティウス3世やボニファティウス8世による増築も行われ、その姿を徐々に変えていきました。アヴィニョン捕囚後、教皇の住居として本格的に利用されるようになり、特に教皇ニコラウス5世の時代には大規模な改修が行われました。

1583年にクイリナーレ宮殿が完成すると、一時的に教皇の住居としての役割を譲りますが、その後も増改築が続けられ、図書館、システィーナ礼拝堂、博物館などの施設が整備されました。バチカン博物館は18世紀中期以降に一般公開され、展示内容も充実していきました。

イタリア統一とバチカン宮殿

1870年の教皇領消滅とイタリア統一運動（リソルジメント）の影響で、教皇は1871年に再びバチカン宮殿に住居を移しました。これにより、バチカン宮殿は教皇の住居として再び重要な役割を担うようになりました。

バチカン博物館

バチカン宮殿内にあるバチカン博物館（Musei Vaticani）は、ラファエロが描いた「署名の間」や、ルネサンス・バロック期の絵画を収蔵した絵画館、古代ギリシャ・ローマ美術コレクションを展示するピオ・クレメンテ美術館など、見どころ満載です。これらの施設は世界中から訪れる人々を魅了し続けています。

現在のバチカン宮殿

現在、教皇の住居として使用されているのは、16世紀にシクストゥス5世によって建てられた建物です。また、教皇が謁見を行う広間は20世紀に建てられました。これらのエリアは非公開ですが、謁見に使用される部屋は比較的内部の様子が知られています。「謁見の間」には、ペリクレ・ファッツィーニ作の彫刻「キリストの復活」があり、この製作にはファッツィーニの助手であった杭谷一東も参加しました。

教皇フランシスコの住居

2013年に就任した教皇フランシスコは、サン・マルタ館に居住しており、バチカン宮殿は外国首脳との謁見などの公務に使用されています。

バチカン宮殿は、その歴史と文化的な価値から、世界中の人々にとって非常に重要な場所であり続けています。

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