エクソシストを堕とせない

『エクソシストを堕とせない』は、有馬あるまによる原作とフカヤマますくによる作画で彩られた、ダークファンタジー漫画です。2021年12月15日より集英社のウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』にて連載開始され、高い人気を誇っています。

物語の中心は、最強のエクソシストとして育てられた、名前も知られていない16歳の少年です。彼は、サタンの魔の手から18歳の画家、愛月イムリを守るため、日本へとやってきます。イムリは、実はサタンが送り込んだ悪魔・リリン（サキュバスの原種）であり、神父を恋に堕とすという使命を帯びています。

少年エクソシストは、イムリを守りながら、彼女を狙う様々な悪魔たちと壮絶な戦いを繰り広げます。過酷な訓練と孤独の中で育った少年は、神への信仰を胸に、悪魔に立ち向かいますが、その繊細な心の中には、生きることの苦悩と、「恋とは何か」という疑問を抱えています。イムリとの出会いは、少年の心に恋と希望の光を灯す一方で、彼の信仰や生き方を揺るがす試練をもたらします。

物語は、少年とイムリの複雑な関係性、そして少年の内面的な葛藤を軸に展開していきます。少年はイムリを守るため、時に危険を顧みず戦い、時に彼女の言葉や存在に心の安らぎを感じます。しかし、イムリの真意は不明瞭であり、彼女は少年にとって敵なのか、味方なのか、その境界線は曖昧なまま、物語は進んでいきます。

作風は、成馬零一氏によると「色欲」をテーマに据え、「恋」が少年にとって祝福か呪いかを問いかけるものとなっています。主人公である少年は「神父」や「少年」と呼ばれ、名前が明かされない点も、物語の重要な伏線となっている可能性を示唆しています。また、作画については、かわいらしいキャラクターが太い線で描かれ、背景の線が抑えられていることで躍動感が生まれ、どのコマも一枚絵のような完成度を誇ると評されています。特に悪魔との対決シーンでは、大ゴマを駆使したダイナミックな演出が、作画の力量を余すことなく示しています。

『エクソシストを堕とせない』は、バトル漫画としての迫力と、恋愛漫画としての繊細さを併せ持つ作品として評価されています。漫画好きのみならず、幅広い層に魅力を伝えうる潜在力を持つ作品と言えるでしょう。次にくるマンガ大賞2022のWebマンガ部門で第9位に選出されたことも、その高い評価を裏付けています。現在、コミックスは9巻まで発売されています。

少年エクソシストの壮絶な戦い、そして、禁断の恋の行方はいかに？愛月イムリの真意は？読み進めるごとに深まっていく謎と、魅力的なキャラクター、そして美麗な作画が、読者を惹きつけてやまない、この作品の魅力をぜひ体験してみてください。

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