エクリプス (イングヴェイ・マルムスティーンのアルバム)

エクリプス

『エクリプス』（Eclipse）は、ネオクラシカルメタル界の巨匠として知られるギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンが1990年に世に送り出した通算5作目となるスタジオ・アルバムです。

制作背景

前作『オデッセイ』から約2年の期間を経て制作された本作は、バンドのラインナップが大きく刷新された点が特徴です。イングヴェイ自身を除く全てのメンバーがスウェーデン人という、新たな布陣でレコーディングに臨みました。このメンバー変更は、アルバムのサウンドやアプローチにも影響を与えたと考えられます。

アルバムの特徴

本作は、イングヴェイの代名詞とも言える高速かつ情感豊かなギタープレイが存分に発揮された作品として位置づけられています。日本盤ジャケットの帯には、「炎につつまれ、イングヴェイのギターは、孤高の音宇宙へ飛翔する!」というキャッチコピーが記されており、その演奏の凄まじさと芸術性を端的に表現しています。アルバムには複数の楽曲が収録されており、イングヴェイのテクニックとメロディセンスが融合した楽曲群を楽しむことができます。

参加ミュージシャン

このアルバムの制作に参加したメンバーは以下の通りです。

• - イングヴェイ・マルムスティーン: ギター、ギターシンセサイザー、ヴォーカル
• - マッツ・オラウソン: キーボード
• - ヨラン・エドマン: ヴォーカル
• - マイケル・フォン・ノリング: ドラム
• - スヴァンテ・ヘンリソン: ベース

イングヴェイ自身がギター、ギターシンセサイザー、そして一部ヴォーカルを担当し、彼を中心に新たなスウェーデン人メンバーがサウンドを構築しました。特にヨラン・エドマンの伸びやかなヴォーカルは、本作の聴きどころの一つと言えるでしょう。

日本限定盤『エクリプス・ダブル・パック』

アルバムの発表後、1990年12月10日には、日本市場向けに特別なパッケージとして『エクリプス・ダブル・パック』（Eclipse Double Pack）がリリースされました。これは、オリジナルアルバムに加えて、ボーナスディスクが付属した2枚組の仕様となっていました。この日本限定のリリースは、当時の日本におけるイングヴェイの人気と期待の高さを示すものと言えます。

楽曲「Eclipse」の利用

アルバムタイトルと同名の楽曲「Eclipse」は、日本のプロレス界においても知られる存在となりました。この楽曲は、プロレスラーの田上明氏の入場テーマソングとして使用されたことがあります。また、「Eclipse」の演奏については、様々なバージョンが存在します。Faultlineというバンドの「Faultline」と「Eclipse」を組み合わせた楽曲や、ロックバンドDDTによる演奏カバー、さらにはネオクラシカルメタルバンドConcerto Moonによる演奏カバーバージョンなどが、田上氏のテーマ曲として採用された実績があります。

まとめ

『エクリプス』は、イングヴェイ・マルムスティーンのキャリアにおいて、メンバーチェンジを経て制作された意欲的な作品です。彼自身のギタープレイはもちろんのこと、新たなスウェーデン人メンバーとの化学反応も見どころの一つと言えます。日本限定盤のリリースや、楽曲がプロレスのテーマ曲として使用されるなど、多方面で話題を提供したアルバムであり、彼のディスコグラフィーにおいても重要な位置を占める作品です。

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