エクルズケーキ

エクルズケーキ

エクルズケーキは、イギリスの伝統的な焼き菓子で、その名前は発祥の地であるエクルズに由来します。このお菓子は、バターをたっぷり使ったフレイキー・ペイストリー（折りパイ生地）で、カラント（小粒のレーズン）を包み込んで焼き上げたものです。焼きあがったケーキには、しばしばデメララシュガー（ザラメの一種）がまぶされ、独特の甘さと食感が楽しめます。

歴史と名前の由来

エクルズケーキの起源は18世紀に遡ります。1793年、ジェームス・バーチという人物が、エクルズの中心部にあるヴィカレッジ通り（現在のチャーチ通りとセントメリーズ通りの角）で、初めてエクルズケーキを販売したとされています。その歴史の長さから、このお菓子は地域の人々に愛され続けてきました。

エクルズケーキは、その見た目から「スクアッシュドフライケーキ（押しつぶしたハエケーキ）」や「フライケーキ（ハエケーキ）」、「フライパイ（ハエパイ）」、「フライズ・グレイブヤード（ハエの墓場）」などとも呼ばれることがあります。これらの名前は、ケーキの中に散りばめられたカラントがハエのように見えることに由来しています。面白いことに、エクルズケーキは原産地名称保護制度の対象ではないため、どこで作られたものであっても「エクルズケーキ」と名乗ることができます。

類似の菓子

エクルズケーキと似たお菓子は、イギリス各地に存在します。その中でも特に知られているものをいくつか紹介しましょう。

チョーリーケーキ: ランカシャー州のチョーリーに由来するこのケーキは、エクルズケーキよりも薄く、フレイキー・ペイストリーではなくショートクラスト・ペイストリー（サクサクとした食感の生地）を使います。また、砂糖をまぶすこともありません。
カラントスクエア: こちらはショートクラスト・ペイストリーを四角形に成形したもので、上面と底面にカラントのフィリングが挟まれています。
ブラックバーンケーキ: ブラックバーンという街にちなんで名付けられたこのケーキは、カラントの代わりに煮たリンゴをフィリングとして使用します。
バンベリーケーキ: バンベリー発祥のこのケーキは、楕円形をしているのが特徴です。
カラントロール: トリニダード・トバゴでは、カラントロールというよく似たペストリーが作られています。これは、フレイキー・ペイストリーでカラントを巻いて焼き上げたもので、斜めに切って提供されます。

これらの類似の菓子からも、エクルズケーキがイギリス文化の中でどのように受け入れられ、変化してきたのかが伺えます。

まとめ

エクルズケーキは、その独特の風味と歴史を持つ、イギリスを代表する焼き菓子の一つです。機会があれば、ぜひ味わってみてください。

参考

Recipe for Eccles cakes

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