エグモント国立公園

エグモント国立公園

ニュージーランド北島西海岸に位置するエグモント国立公園は、1900年に国内で二番目の国立公園として指定されました。公園の中心には、標高2,518メートルの独立峰、タラナキ山がそびえます。近隣のニュープリマスからは、その雄大な姿を望むことができます。トンガリロ国立公園の連峰と異なり、タラナキ山は独立した火山であり、その孤立はマオリの伝説にも語られています。伝説では、かつてトンガリロの火山たちと親しく過ごしていましたが、トンガリロの伴侶である丘、ビハンガに恋し、競争に敗れて西へ追放されたとされます。

科学的には、タラナキ山は約13万年前に現在の場所に誕生したとされます。噴火周期は約340年と不規則で、過去には大規模な山体崩落も経験しています。直近の噴火は1755年です。

公園名の由来は、1770年のジェームズ・クック卿の航海に関係します。クックは発見した山を、航海を指示した第2代エグモント伯にちなんで名付けました。

タラナキ山の自然保護は1881年に始まり、山頂から9.6キロメートル圏内の森林が保全地域とされました。区域は徐々に拡大され、1900年に国内2番目の国立公園に指定。タラナキ山は、映画『ラスト サムライ』のロケ地としても知られます。

生態系

植物相

植生は度重なる噴火の影響で多様です。針葉樹・広葉樹が中心ですが、ブナ林は少なく、つる性のメトロシデロス属や固有種のリムノキが多く見られます。ただし、過去の噴火の影響でリムノキが減少し、他の灌木に取って代わられた場所もあります。

北麓には「アフカワカワ」と呼ばれる湿地帯があります。標高約920メートルに位置し、噴火物が川をせき止めて形成されました。酸性土壌と低温に適応した植物が生育し、固有種のマホー・ドルセイなどが確認できます。

400年前の噴火でリムノキ林が失われた一角には、カマヒが繁茂。豊富な降雨と冷涼な気候が適し、通称「ゴブリンの森」と呼ばれる密林を形成しています。

動物相

鳥類は28種の固有種と15種の移入種が確認され、キタジマキーウィ、シダセッカ、アオヤマガモが絶滅の危機に瀕しています。

無脊椎動物やニュージーランド固有種の魚類も生息し、魚類では3種のココプとコアロが絶滅危惧種です。

害獣のポッサムは植物や鳥類の卵を食べるため脅威となり、駆除・監視活動が行われています。また、公園外からの雑草の侵入にも脆弱で、過去にはワイルドジンジャーの繁茂が問題となりました。

アクティビティ

トレッキング（トランピング）が楽しめます。タラナキ山頂ルートは熟練者向け（片道6.3キロメートル、登り5～6時間）。ポウアカイ・サーキットは全長25キロメートルの縦走ルートで、噴火史の地形や湿地帯を通ります。ストーニー川歩道は全長600メートルの手軽なコースで、魚釣りも可能です。

その他、ピクニック、ロッククライミング、スキー、許可を得てのヤギや豚の狩猟なども可能です。

エグモント国立公園は、壮大なタラナキ山、多様な生態系、そして歴史や伝説が融合した魅力的な自然保護区です。

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