エコーフィスク油田

エコーフィスク油田：北海の巨大油田の歴史と現状

エコーフィスク油田は、ノルウェーのスタヴァンゲルから南西320kmに位置する北海油田です。1969年に発見されて以来、北海油田の中でも特に重要な油田の一つとして知られています。1971年に生産が開始され、コノコフィリップスによって建設された石油プラットフォームが海上での操業を担い、2050年まで操業が継続される予定です。

油田の構成と周辺油田との関係

エコーフィスク油田は、Cod、Ekofisk、West Ekofisk、Tor、Albuskjell、Eldfisk、Edda、Emblaといった複数の鉱区で構成されています。油田の中心部には、周辺のValhall、Hod、Gyda、Ula、スタートフィヨルド、Heimdal、Tommeliten、Gullfaksなどの油田への中継基地としての役割を担う、広大なプラットフォームと輸送ハブが存在します。この巨大な建築物は、29ものプラットフォームから構成されています。

エコーフィスク油田で採掘された原油は、Norpipeを経由してコノコフィリップスが運営するイギリスのTeesside基地へと輸送されます。また、天然ガスは同じくNorpipeを通じて、ドイツのエムデンへと送られます。

予期せぬ地盤沈下とその対策

1980年代半ば、エコーフィスク油田は予期せぬ地盤沈下に見舞われました。地質調査の結果、油田の地盤が石灰岩で構成されていることが判明。石油や天然ガスといった炭化水素の採掘により、その代わりに水が地盤下へ注入されたことで、石灰岩が溶解し始めたことが原因でした。地盤沈下は数メートルに及び、プラットフォームの操業に支障をきたすまでに至りました。推定では最大6メートルの沈下が発生したとされています。

この事態を受け、ノルウェー政府はフィリップス社に対し、地盤沈下対策を強く要請。フランスのテクニップ社に問題解決が託されました。対策として、7つのプラットフォームのうち5つを相互に連結させ、同時に6メートル持ち上げるという大規模な工事が行われました。ジャッキアップによってプラットフォームの鉄製脚が延長され、巨大なフランジが溶接されました。1987年8月17日から4日間かけて、14基のNUM 760FCNCと108基の液圧式懸架装置が用いられ、プラットフォームを持ち上げる作業が実施されました。

プラットフォームを38時間で6メートル持ち上げるという非常に精密な作業であり、プラットフォームの高さのずれの許容範囲はプラスマイナス100ミリメートル以内、液圧式懸架装置の高さのずれの許容範囲は相互にプラスマイナス3ミリメートル以内という厳格な条件が課されました。脚にフランジを溶接する間、液圧式懸架装置は問題なく機能し続けました。他のプラットフォームと連結されていない宿泊用プラットフォームは、6メートル持ち上げる作業の前日に持ち上げられています。このとき持ち上げられたプラットフォームの重量は約40,000トンにも及び、ギネスブックにも記録されています。

Bravoプラットフォームからの原油流出事故

1977年4月11日には、Ecofisk Bravoプラットフォームで、油井内の安全弁が正しく設置されていなかったことが原因で停電が発生し、推定80,000～126,000バレルの原油が流出する事故が発生しました。これは、北海油田史上最大の原油流出事故として記録されています。アメリカ合衆国出身の消防士Red Adairとそのチームが、この流出事故の対応にあたりました。

関連項目

北海の油田とガス田の一覧 (List of oil and gas fields of the North Sea)
油流出事故の一覧 (List of oil spills)

外部リンク

Ekofisk in Interactive Energy Map
Ekofisk field data
Ekofisk II
Ekofisk Industrial Heritage

もう一度検索