エゴズ (イスラエル国防軍)

エゴズ隊

エゴズ隊（Egoz）は、イスラエル陸軍に所属する特殊部隊で、その設立は1956年の第二次中東戦争に遡ります。エゴズの名称はヘブライ語で「ナッツ」を意味しており、特にゲリラ戦において指導的な役割を果たしてきました。1990年代には北部軍ゴラニ旅団の下部隊として新たに編成され、特にレバノン南部のヒズボラへの対抗戦術に特化した編成がなされました。

歴史的背景

エゴズ隊は、初めて創設された当初は偵察部隊としての役割を担っていましたが、部分的に解散し、再び編成されるという変遷を繰り返しました。1963年にはシリアとの水資源を巡る緊張が高まる中で再編成されましたが、その後も頻繁に解体と再組織を経て、1970年代末にはレバノン南部のPLO（パレスチナ解放機構）の活動によって越境テロが激化する中で、その役割が重要視されました。1982年のレバノンへの大規模侵攻の際には、エゴズ隊も戦闘に投入され、その後もイスラエル軍の中で様々なミッションを遂行しました。

しかし、2000年にイスラエル軍がレバノンから撤退した際、エゴズの主な任務は減少しました。その後、国内での低強度紛争の増加に応じてエゴズの運用方針も変更され、ガザ地区やヨルダン川西岸地区での対テロ作戦に特化する方向にシフトしました。これは、レバノン南部のヒズボラの戦術を模倣した戦闘員による攻撃が増えていたからです。

エゴズ隊はその後、2006年のレバノン再侵攻や2014年の「プロテクティブ・エッジ作戦」にも参加し、戦果を上げました。2015年には、幾つかの特殊部隊が統合されて新たに創設された中央軍第98空挺師団の下に第89「オズ」旅団が設立され、エゴズもそこに配属されました。

訓練課程

エゴズ隊の訓練プログラムは厳格で、実戦に即した内容が組み込まれています。以下のような訓練が行われます：

• - 4ヶ月間の基本歩兵訓練：この訓練はゴラニ旅団との合同訓練を通じて実施されます。
• - 2ヶ月間の上級歩兵訓練：同じくゴラニ旅団との合同訓練です。
• - 2週間のパラシュート降下訓練：空中からの投下能力を養います。
• - 3週間の特殊部隊下士官/指揮官訓練：部隊指導者としてのスキルを向上させます。
• - 8ヶ月の専門訓練課程：特定の任務に応じた訓練を行います。
• - 国境地域での戦闘訓練: 実戦環境下での訓練。
• - 野戦訓練：野外での生存技術や戦闘技術を学びます。
• - カモフラージュ訓練：隠蔽技術の習得。
• - ナビゲーション訓練：地図やGPSを使用した移動技術の修得。
• - ヘルモン山での山岳訓練：山岳特殊部隊との合同による高山での訓練。

エゴズ隊の訓練は、実戦で必要となる多岐に渡る戦術力や生存能力を強化するために設計されています。これにより、部隊員は危険環境での高度な判断力と体力を兼ね備えたエリート兵士へと成長します。

結論

エゴズ隊は、その歴史的背景と戦術的専門性から、イスラエル軍における重要な役割を担っています。厳格な訓練課程を経て育成された隊員たちは、様々な危険な任務に従事し、国防に寄与しています。今後も彼らの任務は進化し続けるでしょう。

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