ヒズボラ

ヒズボラ

ヒズボラ（アラビア語：حزب الله）は、1982年に設立されたレバノンの急進的シーア派イスラム主義の政治組織であり、武装組織でもあります。彼らの標榜する「神の党」という名称は、アラビア語で「集団」や「政党」を意味する「حِزْب（ḥizb）」と、イスラムにおける唯一神「الله（Allāh）」を組み合わせたものです。発音は地域によって異なりますが、日本では「ヒズボラ」という表記が一般的です。

組織の背景と目的

ヒズボラは、レバノン内戦の最中である1982年、イスラエル国防軍による軍事作戦に抵抗する形で形成されました。彼らの活動は、イランとシリアの支援を受けており、イスラム的な政府の樹立を目指し、非イスラム的な影響を排除することを目的としています。

ヒズボラは、その活動を通じて「イスラエル抹殺」を掲げており、レバノンからの帝国主義勢力の追放を呼びかけています。彼らの具体的な声明には、レバノン国内における自由な統治体制の選択の機会を国民に与えることが含まれています。しかし、同時に彼らはイスラムの統治を強調する点も見逃せません。

外交政策と支持基盤

ヒズボラは、特にイランの影響下にあるとされており、組織の初期段階からの支援を受けています。また、シリアの政権からも補給基地や訓練施設を提供されています。しかし、サウジアラビア、ヨルダン、エジプトなどのスンナ派国家からは批判の対象となっています。彼らの活動は、レバノン国内外の多くの国々でテロ活動と見なされ、一部の国では直接テロ組織として指定されています。

軍事行動と歴史

ヒズボラは、1980年代以降に欧米やイスラエルに対する攻撃を繰り返し、特に1983年の米大使館と米仏海兵隊兵舎への自爆攻撃が有名です。これらの行動は、共に数百人の死傷者を出し、国際的な注目を集めました。 2006年には、イスラエル軍との全面衝突が発生し、これもまた国際情勢に大きな影響を与えました。複数の交戦を経て、2008年には、ヒズボラは再び政治的な地位を確立し、議会において更なる影響力を持つようになりました。

社会活動と支持基盤の強化

ヒズボラは、軍事活動に加えて、教育や福祉活動も行い、貧困層からの支持を強化しています。病院や学校を運営し、一般市民への援助を行っていることから、シーア派住民の中での支持基盤も強固です。また、近年はレバノン議会における影響力を拡大し、他の政治勢力との連携を深めています。特に2018年の総選挙では、シーア派連合が過半数を獲得しました。

現在の対外関係

ヒズボラは、ガザ地区のハマスと緊密な関係を持ち、2023年にはイスラエルとの緊張が高まる際にこれを明確にしました。このように、ヒズボラは直接的な武装活動だけでなく、政治的なネットワークを通じてシリアやイランとの同盟を強化し続けています。

結論

ヒズボラは、複雑な歴史と背景を持つ組織であり、地域における影響力は依然として大きいものです。しかし、テロ組織との関連性や国際的な視点から見ると、その活動は非常に物議を醸しています。今後の動向が注目される中、ヒズボラは自己の政治的目標を達成するために、様々な手法を駆使して活動を続けています。

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