エジソン (曲)

エジソン (水曜日のカンパネラ)

「エジソン」は、日本の音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」が2022年に発表した楽曲です。同年2月25日、ワーナーミュージック・ジャパンより配信シングルとしてリリースされ、同じく新曲の「招き猫」と同時に世に出されました。

楽曲制作の背景とテーマ

この楽曲の作詞作曲は、ユニットのサウンドプロデューサーであるケンモチヒデフミが担当しました。歌詞の主題となっているのは、「本当は発明家になることを夢見ていたにもかかわらず、意図せず音楽家としてブレイクしてしまったバンドマン」という、少し皮肉めいた、しかしどこか共感を呼ぶ人物像です。ケンモチ氏は、この曲が二代目ボーカリストである詩羽が加入して間もない時期に制作されたことに触れ、「従来の水曜日のカンパネラのスタイルに固執せず、新しい方向性を模索しながら作った」曲であるとし、「過渡期の楽曲」と位置づけています。制作の出発点については、「エジソン」というタイトルが先にあり、多くの人が知る発明家エジソンのストーリーに、水曜日のカンパネラらしい独自のフィクションを織り交ぜるという着想から膨らませていったと語っています。

楽曲のキーはC♯マイナー、テンポは130BPMに設定されています。音楽ライターの西澤裕郎氏は、ライブレポートの中でこの曲を「これぞ水カン！といった、キックの音が気持ちいいテックハウス楽曲」と評しています。

リリースと市場の反応

「エジソン」は、「招き猫」と共に水曜日のカンパネラが新体制となってから第2弾となる配信シングルとして発表されました。リリースに先駆け、2月7日放送のラジオ番組『J-WAVE SONAR MUSIC』で初めてオンエアされました。その後、5月25日に配信されたEP『ネオン』にも、3曲目として収録されています。

Billboard Japan Hot 100チャートにおいては、リリース当初はランキング圏外でしたが、発表から約4ヶ月後の2022年6月29日に公開されたチャートで46位に初登場しました。その後も順位を上げ続け、8月10日公開のチャートで最高位となる13位を記録しています。一度はチャート圏外に落ちたものの、翌週の2023年2月1日公開チャートで78位に再びランクインするなど、息の長いヒットとなりました。ケンモチ氏は当初、「招き猫」の方がより多くのリスナーに受け入れられると考えていたため、配信シングルの1曲目を「招き猫」にしたことを明かしています。しかし、結果的に「エジソン」が予想を上回る人気を獲得したことから、「読みが難しい」とユーモアを交えて語っています。日本レコード協会からは、ストリーミング累計再生回数でのプラチナ認定を受けています。

SNSでの大きなブレイク

この楽曲は、特にSNSプラットフォーム、中でもTikTokを中心に爆発的な広がりを見せました。多くのユーザーが投稿する動画のBGMとして「エジソン」が使用され、2022年12月8日時点での楽曲使用動画の総再生数は27億回を突破しました。Billboard JAPANが発表する「TikTok Weekly Top 20」では、2022年7月6日公開チャートで初めて首位を獲得し、その後3週連続でトップの座を維持しました。また、楽曲中の歌詞フレーズ「踊る暇があったら発明してえ」は、その独特な響きとユーモアが多くの共感を呼び、「TikTok流行語大賞2022」のミュージック部門を受賞しています。

ミュージックビデオ

楽曲「エジソン」のミュージックビデオは、配信シングルと同日の2022年2月25日に公開されました。監督は渡邉直が務め、研究所を舞台に、主人公が発明に没頭する様子を中心に描かれています。このビデオの大きな見どころの一つが、楽曲のリズムに合わせて披露される高速のステップダンスです。この印象的なダンスは、ダンサーのMiyuによるパフォーマンスです。ミュージックビデオ公開後、3月11日にはHz-ShibuyaでMiyuが主催したイベント「Miyu Presents Step into the Metaverse」内で、ビデオに登場する研究所の部屋を再現した特別展示が行われ、ファンが「足ダンス」風の動画を撮影できる企画も実施されました。さらに、同年12月14日には、人気ドラマ『ウェンズデー』の世界観を取り入れたコラボレーションミュージックビデオも公開されており、こちらも渡邉直が監督を務めています。

『THE FIRST TAKE』でのパフォーマンス

一発撮りのパフォーマンスで知られるYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』の第254回に、水曜日のカンパネラが登場し、「エジソン」を披露しました（2022年10月26日公開）。この企画のために特別にアレンジされ、ボーカル詩羽のアカペラで始まるバージョンでのパフォーマンスとなりました。この映像は公開後大きな注目を集め、2022年12月9日時点で832万回を超える視聴回数を記録しています。また、この『THE FIRST TAKE』バージョン音源は、同年12月9日より配信が開始されました。この独特なアレンジは、同年12月7日に渋谷CLUB QUATTROで開催されたライブ『RELEASE PARTY〜LET'S PARTY3〜 supported by JBL』や、12月19日放送のテレビ番組『CDTVライブ!ライブ! クリスマス4時間SP』でも披露され、多くのリスナーに届けられました。

「エジソン」は、その中毒性のあるサウンドとユニークな歌詞、そしてSNSを起点とした広がりにより、水曜日のカンパネラの代表曲の一つとなり、多くの人々に認知されるきっかけとなりました。2024年にはゲーム『ワールドダイスター 夢のステラリウム』に千寿暦（CV: 鳥部万里子）によるカバーバージョンが収録されるなど、リリース後もその影響力は続いています。

(出典: 各種ニュース記事、インタビュー記事、公式サイト、チャートデータなどを参照し構成)

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