エジプトハゲワシ

エジプトハゲワシ

エジプトハゲワシ（Neophron percnopterus）は、タカ目タカ科に属する鳥類で、エジプトハゲワシ属としては唯一の種です。その名の通り、エジプトを含む広範囲な地域に生息し、独特な生態と人間との関わりを持っています。

分布

エジプトハゲワシは、アフリカ、アジア、ヨーロッパの広範囲に分布しています。具体的には、地中海沿岸地域、中東、中央アジア、インド、アフリカのサハラ砂漠以南など、多様な環境で見られます。これらの地域において、サバンナ、砂漠、農耕地、時には人間の居住地の近くなど、様々な環境に適応して生息しています。

形態

全長は約65cmで、全身が白い羽毛で覆われているのが特徴です。目の周り、喉、嘴の周辺には羽毛がなく、黄色い皮膚が露出しています。後頭部から首にかけては、冠羽や襟巻き状の羽毛が発達しており、特徴的な外観を形成しています。幼鳥の羽毛は褐色ですが、成長するにつれて徐々に白へと変化していきます。

生態

エジプトハゲワシは、サバンナ、砂漠、農耕地、そして人間の居住地周辺など、多様な環境に生息します。食性は動物食で、主に動物の死骸を食べることで知られています。他の大型のハゲワシと比べて体が小さいため、他の動物が食べ残した肉片をついばむことが多いようです。

道具 ব্যবহার

エジプトハゲワシは、道具を使う鳥として特に有名です。彼らは、ダチョウの卵を割るために石を使用します。石を口にくわえて卵に叩きつけたり、上空から卵を目掛けて石を落としたりします。もし卵がうまく割れない場合は、別の石を試すこともあります。小さな卵の場合は、掴んで上空から落としたり、石に叩きつけて割るなど、卵の大きさに応じて方法を使い分けるようです。

人間との関係

古代エジプトでは、エジプトハゲワシは神聖な動物として崇められていました。女神ネクベトやムトの象徴とされ、神殿で飼育されることもありました。現代においても、その独特な生態や知能の高さから、多くの人々に興味を持たれています。

保全状況

エジプトハゲワシは、生息地の減少や農薬の使用、鉛中毒など、様々な要因によって個体数が減少しています。国際自然保護連合（IUCN）のレッドリストでは、絶滅危惧種として指定されており、保護対策が急務となっています。

参考文献

黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科8　鳥類II』、平凡社、1986年、118頁。
『小学館の図鑑NEO　鳥』、小学館、2002年、127頁。

外部リンク

2017 IUCN Red List of Threatened Species
Neophron percnopterus - CITES

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