エジプト・スルタン国

エジプト・スルタン国（アラビア語: السلطنة المصرية）は、1914年から1922年まで存在した、エジプトにおけるイギリスの保護国でした。それまでのエジプトは、名目上オスマン帝国の支配下にありましたが、第一次世界大戦の勃発を機に、イギリスがエジプトを保護国とし、スルタン国が成立しました。

スルタン国の成立

1914年、第一次世界大戦が勃発すると、イギリスはオスマン帝国と敵対することになりました。これにより、イギリスはエジプトに対する支配を強化し、同年12月18日、エジプトを保護国とすることを宣言しました。同時に、エジプトのヘディーヴ（総督）であったアッバース2世を廃位し、代わりにフサイン・カーミルをスルタンとして擁立しました。これにより、エジプトは名実ともにオスマン帝国の支配から離脱し、イギリスの保護下にあるスルタン国として新たな道を歩み始めました。

ムハンマド・アリー朝の継続

スルタン国となっても、王朝はムハンマド・アリー朝が引き続き統治しました。ムハンマド・アリー朝は、19世紀初頭にムハンマド・アリーによって創始された王朝であり、エジプトの近代化に大きく貢献しました。スルタン国の時代も、ムハンマド・アリー朝のスルタンがエジプトを統治し、イギリスの支援を受けながら、政治、経済、社会の改革を進めました。

歴代スルタン

エジプト・スルタン国には、以下の2人のスルタンがいました。

1. フサイン・カーミル (在位: 1914年 - 1917年)
2. フアード1世 (在位: 1917年 - 1922年)

一方的な独立宣言とその後

スルタン国は、1922年2月28日に一方的な独立宣言を行い、スルタン国としての時代は終焉を迎えました。フアード1世は、独立後、エジプト王となり、エジプトは王国として新たな時代を歩み始めました。しかし、イギリスの影響力は依然として強く、エジプトの完全な独立は、第二次世界大戦後の1952年のエジプト革命を待つことになります。

エジプト・スルタン国は、短期間ではありましたが、エジプトの歴史において重要な時期でした。スルタン国の成立は、エジプトがオスマン帝国の支配から完全に離脱し、近代国家としての道を歩み始めるきっかけとなりました。また、スルタン国の時代には、政治、経済、社会の改革が進められ、エジプトの近代化に大きく貢献しました。

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