エジプト第11王朝

エジプト第11王朝の概要

エジプト第11王朝（紀元前2134年頃 - 紀元前1991年頃）は、古代エジプトの中王国時代に位置づけられる重要な政権です。第1中間期における地方の分権状態から、上エジプトのテーベ（現在のルクソール）が自立し、ここからエジプト全土の統一が実現されることとなりました。この王朝の成立によって、古王国時代の終了以来、分裂していたエジプトは再び一つにまとまることになり、その後の中王国時代が始まりました。

歴史的背景と政権の形成

テーベは古王国時代には小さな村に過ぎなかったものの、その後、首都がヘルモンティスからテーベに移ることで急速に発展しました。歴史家マネトは、この王朝には16人の王が存在するとしていますが、その詳細な名前については記録が残っていません。第11王朝の始まりは、メンチュヘテプ1世の時代に遡るとされ、彼の息子であるアンテフ1世が初めて王位を名乗りました。

初期の段階での第11王朝の領土は限られていましたが、アンテフ2世の時代には、ヒエラコンポリスからエレファンティネに至る南方地域を支配することに成功しました。これにより、北ではアビュドスを征服し、上エジプトの国境線を確立しました。第10王朝との戦闘は緊張状態を維持しましたが、ナイル川を挟む休戦もありました。

統一と政治体制の変革

紀元前2060年頃、メンチュヘテプ2世が即位し、エジプトの再統一を果たしました。彼は14年目にアビュドスで発生した反乱を迅速に鎮圧し、第10王朝への反撃を果たしました。この中で、ヘルモポリス侯などが第11王朝に寝返り、戦局を有利に進めました。最終的にヘルモンティスを落とし、エジプト全土の統一を実現しました。

メンチュヘテプ2世の治世と文化の発展

メンチュヘテプ2世はその後も精力的に国を治め、多くの官職を復活させたり、新設したりして行政体制を整えました。彼の時代には建築ブームが起こり、テーベへの職人の移住を促進し、素晴らしい芸術作品が生まれました。特に著名なのが、メンチュヘテプ2世の葬祭殿で、デイル・アル＝ハバリに位置し、多くの高官たちの墓も周辺に設けられました。

王権の継承と影響

メンチュヘテプ2世の死後、息子のメンチュヘテプ3世が即位し、国内の安定を保持しつつ、数々の建築事業を展開しました。しかし、メンチュヘテプ4世の時代には政治情勢が不安定になり、遂には第12王朝のアメンエムハト1世によって王位が簒奪されることとなります。

結論

第11王朝はメンチュヘテプ2世による統一を成し遂げ、エジプトの再建と文化の発展に寄与しました。古代エジプトの歴史の中で重要な役割を果たしたこの王朝は、後のエジプト第12王朝によって引き継がれ、その影響を感じさせるものとなりました。

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