エジプト第2中間期

エジプト第2中間期について

古代エジプト史における第2中間期（紀元前1782年頃 - 紀元前1570年頃）は、重要な転換点といえる時代です。この時期は、第13王朝から第17王朝にかけての時代を指し、エジプトの統一が崩れ、異民族が支配権を握る結果をもたらしました。特に、ヒクソスと呼ばれる異民族による第15王朝の成立が顕著でした。

王朝の変遷とヒクソスの台頭

エジプトでは、国が繁栄していた中王国から第1期中間期の混乱を経て、第2中間期にはシリアやパレスチナ系の人々が多く流入しました。その中で、ヒクソスは外国人としてエジプトに定住し、次第に権力を強化していきました。彼らの登場は、エジプト社会に新たな文化的影響を与えることになり、第15王朝の成立に至ります。

ヒクソスによる支配は、ナイル川三角州を中心に広がり、メンフィスからパレスチナまでの広範囲に及びました。エジプト内部では、王権が弱体化する中でも、ヒクソスはエジプトの官僚制度を活用しながら自らの政権を確立しました。これにより、異民族の支配が穏やかな形で続いていく一方で、エジプト人にとっては複雑な状況が形成されました。

ヒクソスの支配とその影響

ヒクソスが築いた第15王朝は、エジプトの歴史において暴力的で悪名高い統治者として描かれることが多いですが、実際には彼らもエジプト文化を吸収し、国の運営にも尽力していました。それにもかかわらず、エジプトの記録には多くの偏見が見られ、彼らの支配がいかに受け止められていたかを示しています。ヒクソスはエジプトの伝統的な国家機構を引き継ぐことで、ある程度の安定をもたらしましたが、エジプト人の自尊心を大きく傷つける存在であったことは否定できません。

反ヒクソス戦争と再統一

やがて第17王朝はヒクソスに対抗し、反乱を起こしました。セケンエンラー王をはじめとし、その後を継いだカーメスやイアフメス1世は、ヒクソス政権を滅ぼすための軍事行動を展開しました。これにより、紀元前16世紀半ばまでにはヒクソスの影響を排除し、エジプトの統一が回復されます。これが後に新王国時代となり、エジプトの歴史の中でも最も繁栄した時代を迎えることとなるのです。

第2中間期の史料

この激動の時代に関する記録は非常に限られています。例えば、第17王朝は統一を果たしたため、文献が比較的多く残されています。特にセケンエンラー王に関する伝説や、軍事的成功を称える碑文は重要です。しかし、ヒクソスに関する同時代の資料は乏しいため、彼らの支配の詳細を知ることは困難です。エジプト人がヒクソスを蔑視していたため、関連する記念物や文献は多くが破壊されたからです。

考古学的発見としては、アヴァリスの遺跡から発見される小規模な遺物が重要です。その中でもスカラベは特に、この時代の証拠を多く提供しており、王名が記載されているものも多く発見されています。また、ティル・アル＝ヤフーディア式の壺などは、シリア文化との繋がりを示す証拠となっています。これにより、ヒクソスが異なる文化を持ち込んだ一方で、エジプトとの交流を密にしていたことが明らかになります。

まとめ

エジプト第2中間期は、異民族による支配とエジプトの自己再生の過程を示す重要な時代です。ヒクソスの興隆とエジプト統一の再建は、後世の新王国時代への影響を大きく与えました。この時代は、古代エジプト史の重要なターニングポイントといえるでしょう。

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