カーメス

カーメスについて

カーメス（在位：紀元前1573年 - 1570年）は、古代エジプト第17王朝の最後のファラオとして知られています。彼は長い間、先代ファラオであるセケンエンラー・タア2世の息子と考えられていましたが、最近の研究によって実際にはセケンエンラーの弟であるとする説が有力となっています。カーメスは、古代エジプトの歴史において特に重要な時期を生き抜いた王であり、彼の治世はヒクソス第15王朝との戦いに焦点を当てたものでした。

治世の背景

カーメスは治世の初期にヒクソスと対立し、エジプトの統一を回復するために軍備の拡張に取り組みましたが、その施策は当初から理解を得られることは少なかったものの、彼はヌビア遠征を成功させ、ヌビアを属国化するという成果を上げました。この成功は後の第20王朝の時代まで続き、エジプトの南方における影響力を保つ要因となりました。彼の治世は、エジプトの再興のための重要な戦略を練りながらも、常に敵との戦いに直面していました。

ヒクソスとの戦い

カーメスは、ヒクソスの支配に挑む姿勢を崩さず、日本の神話にも例えられるような激しい戦いを繰り広げました。自ら先頭に立って進撃し、アポピス王との戦いに勝利を収めたことは彼の名声を高める要因となりました。彼は、ナイル川を北上する際、直属の水軍を指揮し、各地の軍団を集結させて敵の領域へ進撃しました。その結果、彼は敵首都アヴァリスに大打撃を与えることに成功するものの、準備不足により十分な兵力を持たず、最終的には撤退を余儀なくされました。彼の死後、この戦いの成果は彼の兄イアフメス1世に受け継がれ、最終的にはヒクソスを完全に滅ぼす戦果を上げるのです。

カーメスの埋葬

カーメスの埋葬場所については最初は不明でしたが、彼の棺が新王国時代の共同墓地であるDra Abu el-Nagaで発見されました。その中には王のミイラが納められていたものの、著しい損傷を受け、その姿は崩れていました。さらに、彼を示すカルトゥーシュも判読できず、発掘を行った研究者たちはその価値に気づかずにミイラは再度埋葬されることとなりました。

この棺がカーメスのものであり、ミイラが実際に彼のものであったと判明したのは、発見から約50年後のことでした。その間に出土場所の記録が失われ、ミイラ自体も行方を追われることとなります。これは、古代エジプトの歴史における一つの謎と言えるでしょう。

おわりに

カーメスの治世はヒクソスとの壮絶な戦いを背景に、エジプトの古代史における重要な位置を占めています。彼の業績は、後に続く王たちに受け継がれることとなり、エジプトの栄光を次の時代へとつなげる役割を果たしました。古代の王たちの中でも特に注目に値するカーメスの歴史は、今もなお多くの研究によって解明が進められています。

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