エジプト第23王朝

エジプト第23王朝の概要

エジプト第23王朝（紀元前818年 - 紀元前715年頃）は、古代エジプトの第3中間期に存在した王朝です。この王朝は、第22王朝に対抗する形で上エジプトや中部エジプトで権力を握った傍系の王たちを指します。彼らはリビュア系の血筋を引くことから「リビュア人の王朝」とも呼ばれます。

歴史的背景

第22王朝の時代、特にシェションク3世の治世以降、エジプトの中央集権が弱まり、地方において独立の動きが高まりました。こうした状況の中で、タケロト2世という王がシェションク3世の後を継ぐことに異議を唱え、上エジプトのテーベで新たに王位を主張しました。このことが第23王朝の成立の契機となり、彼はテーベにおいて別の王家を開いたのです。

当時の情報源としてカルナック神殿に残された碑文があり、この王朝の成立や王の存在を確認する手がかりとなっています。しかし、詳細な歴史はあまり伝わっていないため、後の研究によって新たな知見が浮かび上がる可能性があります。

タケロト2世の治世中には、彼に好意的でない勢力が存在し、ペディバステトという人物が王位を主張しました。彼とタケロト2世の間で10年以上にわたる権力争いが繰り広げられ、結果としてタケロト2世が死亡すると、ペディバステトが単独の支配者となりました。ペディバステトは心強いシェションク3世の支持を受けたと考えられ、彼の治世は当時の混乱を反映するものでした。

ペディバステトの死後は、彼の後継者シェションク6世が権力を掌握しますが、すぐにタケロト2世の息子であるオソルコン3世が力を取り戻し、シェションク6世を打倒しました。オソルコン3世は影響力を拡大し、彼の王子タケロト3世をヘラクレオポリスの長官に任命しました。これにより、古代エジプトの政局がさらに複雑化しました。

カルナック神殿に残された碑文によれば、第22王朝の支配が終了してからも、上エジプトにおいて第23王朝が重要な権威を持っていたとされます。また、第23王朝の王たちが持っていた権力についても、詳細は明らかではありません。

王朝の分裂と最終的な崩壊

オソルコン3世の後、タケロト3世が王位を継承すると、ヘラクレオポリスの長官ペフチャウアバステトが彼の姪と結婚し、独自に王を名乗りました。このような状況は、王朝の分裂を加速させ、テーベではイニ、ヘルモポリスではニムロト、そしてサイス（第24王朝）ではテフナクト1世がそれぞれ支配権を持つようになりました。

このようにエジプト国内が分裂し、互いに争う中、南方のヌビア人の王ピアンキがエジプトに対する遠征を決意しました。彼はエジプト文化の影響を受けており、その治世においてはエジプトのファラオとしての称号を持ち、アメン神を崇拝していました。彼の遠征は、「旧宗主国の秩序を回復する」という理念のもとに行われました。

ピアンキの軍は北上し、テーベを占領するに至りました。その後、イウプト2世が他の王たちと共闘しましたが、彼らはヌビアの侵攻に敗れ、遂に第23王朝はその独立を失うこととなりました。この時期、エジプト王権の分裂は一層深刻な事態となり、困難の中を生き延びていくことになります。

歴代王の紹介

第23王朝の歴代王は以下のように記されています。これらの多くは、マネトの記録によるもので、彼はこの王朝を第22王朝の分家と見なした可能性があります。

1. ペディバステト（ペディバテス）
2. オソルコン（オソルコ）
3. プサンムス
4. ゼト

王名の一部は、同時代の記録と異なることがあるため、注意が必要です。また、王位の継承や名乗りについても、地域や時期によって変動があったと考えられます。全般的に、エジプト第23王朝の歴史は複雑で多様な変遷を捉えており、今後の研究によってさらに明らかになることが期待されています。

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