エストポリス伝記

『エストポリス伝記』は、1993年 6月25日に日本のタイトーからスーパーファミコン向けに発売されたロールプレイングゲームです。開発はネバーランドカンパニーが手掛けました。プレイヤーは、かつて世界を危機から救った英雄マキシムの末裔（まつえい）である主人公を操作し、邪悪な存在「四狂神」が再び地上に復活するのを阻止するための壮大な冒険に挑みます。

ストーリー

物語は、英雄マキシムの子孫である主人公が、記憶喪失の少女ルフィアと共に平和な日々を送る故郷アレキアから始まります。主人公は剣士隊として日々訓練に励んでいましたが、ある日、隣国シェランが謎の勢力によって襲撃されたという不穏な噂を耳にします。不安を抱きシェランへと向かった主人公の目の前に現れたのは、驚くべきことに、過去の戦い「虚空島戦役」でマキシムたちに打ち倒されたはずの破壊神ガデスを名乗る男でした。圧倒的な力の差を見せつけられた主人公は、ガデスから四狂神復活を告げられます。

九死に一生を得てルフィアと共にアレキアへ戻った主人公は、シェラン調査隊の派遣を要請しますが、受け入れられません。再びかつての戦役のような惨劇が起こることを危惧した主人公は、四狂神復活を阻止するため、そしてマキシムの子孫としての使命を果たすために、ルフィアと共に故郷を離れ、旅立つ決意を固めるのでした。

登場人物

主人公
英雄マキシムの子孫であり、本作の語り部となる存在です。来るべき危機に備え、アレキア剣士隊で日々修行を積んでいました。幼い頃からルフィアと行動を共にしています。神々との戦い「虚空島戦役」でマキシムが振るったとされる「デュアルブレード」を唯一扱うことができ、加えて回復呪文や一部の補助魔法もこなせるバランスの取れた能力を持ちます。序盤は物理攻撃が得意なアグロスのサポートに回るのが効果的です。
ルフィア
青い髪を持つ16歳の少女。幼少期に主人公と出会った際、名前以外の全ての記憶を失っていました。主人公と共にローマンの世話になり成長します。極めて高い魔力の素質を持ち、雷、水、空間爆発といった攻撃魔法や多彩な補助魔法を得意とします。その正体は、四狂神の一柱、殺戮の神エリーヌが転生した姿です。物語終盤、デュアルブレードがきっかけとなり記憶を取り戻しますが、エリーヌとしての意識に囚われ、一時的に主人公と敵対することになります。しかし、最終決戦直前にはルフィアとしての記憶を取り戻し、再び仲間として主人公たちの前に戻ってきます。
アグロス
ロルベニア軍に所属する緑髪の青年。シェラン襲撃の報を受けトレックに滞在していた際に主人公たちと出会います。四狂神復活の危機感を軍部に訴えますが聞き入れられず、軍と袂を分かち、主人公たちの旅に同行することを決めます。魔法は一切使えませんが、強力な武具を装備可能な完全な武闘派です。
ジュリナ
ハーフエルフの少女。エルフは人間より長命なため、外見は幼くとも相応の年齢である可能性があります。ベルゲンで混沌の神アモンの手下に復活の生け贄として捧げられそうになったところを主人公たちに救われます。主人公に惹かれ、恩返しとして旅への同行を願いますが一度は拒否されます。しかし、「迷いの森」手前でガイドとして半ば強引に仲間に加わります。炎や氷系の攻撃魔法、そして回復魔法全般を得意とする魔法使いで、固有武器として弓を扱うこともできます。

四狂神

99年前に「虚空島戦役」で人類を恐怖に陥れた邪悪な神々です。英雄マキシムらによって打ち倒されたとされていましたが、実際には彼らのうち一人でも生き残りが存在すれば、時間をかけて全員が復活する性質を持っています。

ディオス（恐怖を司る神）
四狂神の頂点に立つ存在。落ち着いた雰囲気の壮年男性ですが、恐怖による地上支配を企んでいます。仲間、特にルフィア（エリーヌ）に対しては複雑な感情を見せ、「我が元へ戻るのだ」と呼びかけたり、彼女を自分の傍らに置こうとするなど、個人的な繋がりを思わせる振る舞いがあります。最終的にはガデス、アモンと合体し、ガルディオスとなります。
エリーヌ（殺戮を司る神）
ディオスに次ぐ地位にある神。作中では転生体であるルフィアを通してその存在が語られます。100年後を描いた続編では、ヒロインのシーナとして転生し登場します。自身の破滅的な波動を恐れ、ディオスたちと共に主人公に倒されることで四狂神という存在そのものを消し去ろうとしました。激怒したディオスによって業火の神ザルバックに吸収されてしまいますが、意思は生きており、ザルバックの制御を試みます。エンディング後、ルフィアとは別の存在として復活を果たします。
アモン（混沌を司る神）
ガデスの同僚。鎧を纏い槍を構えた美形の青年ですが、プライドが高く激昂しやすい性格です。過去にマキシムに敗れたことを根に持っています。
ガデス（破壊を司る神）
四狂神の先兵。鎧姿の戦士で、剣と盾を操ります。好戦的で人間を見下していますが、ディオスへの忠誠心は厚いようです。

ガルディオス
ディオスの肉体にガデスとアモンが合体した、本作の最終ボスです。本来はエリーヌも加わるはずでしたが、彼女が弾き出されたため下半身が存在しない異形の姿となりました。

デュアルブレード

持つ者の精神波動に共鳴し、その潜在能力を飛躍的に引き出すとされる伝説の武器です。英雄マキシムはこれを用いて四狂神に対抗したと言われています。物語の中で重要な役割を果たします。

移植版

本作は、2006年にWindows用ソフトとしてi-revoにて配信されたほか、2009年には携帯電話ゲームとしても各キャリアからリリースされました。

スタッフ

ディレクター/シナリオ：宮田正英
メイン・プログラム：受田直之
バトル・プログラム：すずきあきひろ、NAMINAMI
キャラクター・デザイン：M.SATO
モンスター・デザイン：まつもとともなり
* 音楽：塩生康範他

音楽

本作の楽曲は、後に発売された続編や関連作品のサウンドトラックにボーナストラックとして収録されたり、新規デジタル録音で再録されたりしてリリースされています。

評価

ゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは、4人のレビュアーからそれぞれ7点が付けられ、合計28点（40点満点中）を獲得しました。また、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票「ゲーム通信簿」では、30点満点中22.7点という評価を得ています。

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