エゾウスユキソウ

エゾウスユキソウ（蝦夷薄雪草）

エゾウスユキソウ（学名：Leontopodium discolor）は、キク科に属する多年草の高山植物で、一般的には「蝦夷薄雪草」と呼ばれています。この植物はその美しいフォルムから、登山者や植物愛好家に親しまれています。また、特に礼文島では「レブンウスユキソウ」という別名でも知られています。

特徴

エゾウスユキソウの茎は、通常13cmから33cmの高さに成長します。根本に生える葉は倒披針形で、長さは3.5cmから8cmほどです。茎に付く葉は、10〜20枚ほどが互い違いに生えており、これらは3～5cmの長さと3～8mmの幅を持つ形状をしています。葉の先端は鋭く、基部は徐々に細くなりますが、鞘状にはならないのが特徴です。

この植物の花期は7月から8月にかけてで、頭花は非常に美しく、径は6mmほどです。花の縁にある苞葉は星のように広がり、径は2.5cmから6cmに達します。大きさの異なる5〜22個の頭花が密に集まって咲く様子は、非常に見応えがあります。頭花の中には、雄花と雌花が混在しており、果実は長さ約1mmの痩果で、楕円形をしています。

分布と生育環境

エゾウスユキソウは主に北海道に自生し、特に礼文島がその代表的な生息地として知られています。他にも、藻琴山やニペソツ山、釧路町の昆布森などでも見られ、これらの地域の乾燥した岩礫地や草地に生育します。また、サハリンにも分布しており、その限られた生育環境が、この植物を特に貴重な存在にしています。

保全状況評価

環境省のレッドリストにおいて、エゾウスユキソウは絶滅危惧IB類（EN）に分類されています。これは、2012年に発表されたもので、これによりこの美しい高山植物が保護の対象であることが再確認されました。エゾウスユキソウの生息地は限られているため、その保護活動が重要です。

参考文献

エゾウスユキソウに関する情報は、以下の文献から得られています：

• - 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III 合弁花類』（1981年、平凡社）
• - 豊国秀夫編『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』（1988年、山と溪谷社）
• - 清水建美、木原浩『山溪ハンディ図鑑8 高山に咲く花』（2002年、山と溪谷社）
• - 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
• - 生物多様性情報システム, 環境省

エゾウスユキソウの美しさとその生息環境を守るためには、これらの情報を基にした理解が重要です。

もう一度検索