エタ (時計)

エタ・エス・アー・マニュファクテュール・オルロジェール・スイス（ETA SA）

エタ・エス・アー・マニュファクテュール・オルロジェール・スイス（ETA SA）は、スウォッチグループの一員として、機械式およびクォーツ式の時計ムーブメントを専門に製造しています。近年、ETAのムーブメントは西ヨーロッパの多くの機械式腕時計メーカーに利用されており、その品質と信頼性から選ばれています。同社は通常「ETA」と略称され、スイスの時計業界における重要な位置を占めています。

歴史

ETAの起源は1793年にまで遡ります。当初は「フォンテンメロン」と呼ばれる時計機械の半完成品を製造する工房として始まりました。本格的な時計ムーブメントの生産は1856年に南スイスのグランシェでスタートし、1876年には完成品の時計製造へと進展しました。この過程で、ETAは1905年に社名を「エテルナ」と改め、正式なマニュファクチュールとしての地位を確立します。

1896年にはアドルフシールド社がグランシェに設立され、時計機械製造業界に新たな仲間が加わりました。その後の1914年にアドルフシールドは国際博覧会で金賞を受賞し、名声を確立します。1926年にはエタ、アドルフシールド、フォンテンメロンなどが参加し、エボーシュグループが誕生しました。このグループは合併ではなく、各企業が独自の活動を続けつつ連携を深める形で展開されます。

1970年代には、EEMがエボーシュグループ内に設立され、クォーツ式時計の機械製造にも進出しました。エタは1978年にアドルフシールドを吸収合併し、その後も成長を続けました。1982年には新たな腕時計ブランド「スウォッチ」が発売され、アメリカでの販売が開始されることで注目を浴びます。1995年にエボーシュグループの企業が統合され、現在の組織体制が形作られ、ETA SA Fabriques d’Ebauchesとして知られるようになりました。

主な製品

ETAの主力製品には、ETA2824-2、ETA2892-2A2、ETA7750バルジュー、ETA7001プゾーなどがあります。このようなムーブメントは、ブライトリング、オメガ、タグ・ホイヤーなどの著名なブランドに供給されますが、それぞれのブランドの方針によりETAの製品がどのように使用されるかは様々です。

エボーシュ供給問題

2002年、ETAは自社製エボーシュのスウォッチ・グループ外への供給を2006年で停止する計画を発表しました。この決定は多くのスイスの機械式時計メーカーに影響を及ぼすこととなり、スイス競争促進委員会が介入する事態に発展しました。その結果、2008年からの供給停止が合意され、2010年には完全に停止されました。このことによりスイスの時計メーカーは自社製ムーブメントの開発を急がざるを得ない状況となり、顧客に提供する製品の多様化が進みました。

エタの歴史は意義深いものであり、スイスの時計産業の基盤を支える重要な存在として、今後の時計製造と技術革新においても欠かせない役割を果たすでしょう。

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