エタンプ

エタンプ（Étampes）

フランス共和国の首都圏イルド・フランス地域圏に属するエソンヌ県の南部に位置する都市、エタンプ。パリ中心部から南南西へ約48キロメートルに位置し、セーヌ川の支流であるジュイヌ川に合流する美しいシャルエット川のほとりに開けています。エタンプはエソンヌ県の準県所在地であり、その郡の中心地としての役割を果たしています。

歴史の足跡

エタンプの歴史は非常に古く、その名は古代ローマ時代に由来するともいわれています。ラテン語では「Stampae」と呼ばれていました。少なくとも7世紀初頭には既に都市としての形を成しており、中世に入るとフランス国王の直轄領となりました。この時代、エタンプは王権と教会双方にとって重要な場所となり、たびたび会議や議会の舞台となっています。特に1130年には、ローマ教皇インノケンティウス2世の正当性がこの地で承認されるという、教会史における重要な出来事が起こりました。

中世を通じて繁栄を享受したエタンプですが、戦乱の時代には被害も受けました。1652年には、フランス絶対王政を揺るがしたフロンドの乱において、テュレンヌ子爵率いる王党派の軍隊によって激しく攻撃され、市街地は大きな損害を被りました。

現代の姿

現代のエタンプは、隣接するモリニー＝シャンピニーやブリエール＝レ＝セレスといった周辺のコミューンと共に一つの都市圏を形成しています。1999年の統計によれば、この都市圏全体の人口は約2万6千人を超え、パリ大都市圏の一部として、首都の機能や経済を支える衛星都市としての役割を担っています。

緑豊かな自然環境と歴史的な街並みが調和したエタンプは、パリからのアクセスも比較的容易であることから、居住地としても注目されています。

国際交流とゆかりのある人々

エタンプは国際交流にも積極的に取り組んでおり、ドイツのザクセン州にあるボルナ市と姉妹都市提携を結んでいます。

また、エタンプは多くの著名な人物を輩出した土地としても知られています。現代ではプロサッカー選手として活躍するヤクバ・シラ氏がこの地の出身です。歴史上の人物としては、フランス革命期の混乱期にエタンプ市長を務め、後にその職務中に悲劇的な最期を遂げたジャック・ギヨーム・シモノー氏がいます。さらに、進化論の初期に大きな影響を与えた博物学者のエティエンヌ・ジョフロワ・サンティレール氏、同じく博物学者で特に地質学分野で業績を残したジャン＝エティエンヌ・ゲタール氏もエタンプにゆかりのある人物です。芸術分野では、著名な画家であり彫刻家でもあったルイズ・アベマ氏がこの街の出身として挙げられます。

シャルエット川沿いの美しい景観、豊かな歴史遺産、そして現代都市としての機能を持つエタンプは、フランス首都圏における魅力的な都市の一つと言えるでしょう。

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