エチオピア内戦

エチオピア内戦の概要

エチオピア内戦は1974年9月から1991年6月にかけて発生した大規模な内戦で、主にエチオピア人民民主共和国政府と様々な反政府勢力の間で戦われました。この戦争は、共産主義を掲げる政権とその反対派との対立から生じたもので、国内外で多くの政治的、社会的影響を及ぼしました。

背景

エチオピア内戦は1974年9月12日のクーデターをきっかけに始まりました。このクーデターでは、皇帝ハイレ・セラシエ1世が廃され、エチオピア暫定軍事行政評議会（通称デルグ）が樹立され、マルクス・レーニン主義に基づく新しい政府が形成されました。デルグは、エチオピアの政治構造を根本的に変えることを目指し、反対勢力を抑圧するために武力行使を正当化しました。

内戦が勃発した背景には、既にエリトリアでは独立戦争が発生しており、エリトリア分離主義者たちはこの内戦に参加しました。また、共産主義に反対する勢力や民族解放軍など、さまざまなグループがデルグ政権に対抗しました。

内戦の進行

デルグ政権は、反乱勢力に対して軍事作戦だけでなく、赤色テロと呼ばれる酷烈な弾圧を行いました。これにより、反政府勢力は一時的に抑えられるものの、エチオピア国内では飢饉や経済の悪化が続き、一般市民の不満が高まっていきました。特に1980年代中頃にはエチオピア飢饉が深刻な問題となり、反乱軍への支持が増加しました。

1987年にデルグは解散し、エチオピア労働者党による新たな政権、エチオピア人民民主共和国が成立しましたが、この新政府も国内の混乱に対処することができませんでした。ソビエト連邦の支援が次第に減少する中で、政府軍は反乱軍に対して厳しい戦況に直面しました。

終結と影響

1991年5月、エチオピア人民民主共和国はエリトリア独立戦争に敗れ、メンギスツ・ハイレ・マリアム大統領は国外へ逃亡しました。内戦は1991年6月4日、エチオピア人民革命民主戦線が首都アディスアベバを制圧することで終息を迎えました。これにより、デルグ政権は崩壊し、ティグレ人民解放戦線が主導する暫定政府が設立されました。

この内戦の結果、少なくとも140万人が死亡したと推定されています。そのうち戦闘による直接の死者は40万人程度で、残りの100万人以上は飢餓により命を落としました。エチオピア内戦は、国の歴史における非常に悲劇的な一章であり、その後のエチオピアの政治や社会に深い影響を及ぼしました。

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