エックヴェルスハイム脱線事故

エックヴェルスハイム脱線事故

エックヴェルスハイム脱線事故は、2015年11月14日、フランス・ストラスブール近郊のエックヴェルスハイムで発生した鉄道事故です。この事故は、TGVの脱線において1981年の営業開始以来3回目であり、また、初めての死亡者を出した事件でもあります。

事故の経緯

事故は2015年11月14日15時31分ごろ、LGV東ヨーロッパ線の2期区間で行われていたTGV Duplex Dasye編成（編成番号744）の試運転中に発生しました。この列車は、エックヴェルスハイム・コミューン内にあるマルヌ・ライン運河上の鉄橋を通過する際に脱線しました。脱線の衝撃により、連結器が外れ、車両がバラバラになりながら築堤から転落し、運河を越えて線路脇の空き地に停止しました。

先頭車両は橋の欄干に衝突し、その結果出火し、最後尾の車両は半分以上が運河に水没するという状況となりました。この列車にはフランス国鉄（SNCF）の技術者や乗務員、そして招待された関係者の家族を含む合計53人が乗車していました。この事故の影響で、11人が亡くなり、さらに42人が負傷、その中には4人の重傷者が含まれていました。一方で、乗客には4人の子どももいましたが、幸いにも軽傷で済んでいました。

事故の直後、エコロジー・持続可能開発・エネルギー大臣のセゴレーヌ・ロワイヤルや交通・海運・漁業担当次官のアラン・ヴィダリが現場に駆けつけ、SNCF総裁のギヨーム・ペピも状況を把握しました。

事故発生から数時間後、緊急事態を示す「プラン・ルージュ」が発令され、救助活動が始まりました。救急隊や消防署の救助隊、フランス国家憲兵隊が出動し、さらには赤十字やボランティア団体のメンバーも現場に駆けつけました。救助された軽傷者や精神的に動揺した方々は、エックヴェルスハイムの学校に一時的に収容され、介抱を受けました。

事故の原因

事故現場は、東ヨーロッパ線2期区間と在来線が合流する地点の近くに位置し、フェンデンハイム駅からは約3km、ストラスブールからは約12kmの地点でした。事故調査の結果、当該列車は脱線する際に243 km/hという速度に達しており、定められた通過速度176 km/hを大きく超えていました。また、運転室には当時7人が在室しており、その多人数の影響で注意が散漫となり、ブレーキをかけるまでに時間がかかったことが指摘されています。さらに、この事故はパリ同時多発テロ事件の翌日に発生したため、初めはテロの可能性も考えられましたが、調査によりその可能性は否定されました。

この事故は、フランスの鉄道史において特に重要な出来事となり、今後の鉄道運行における安全対策の見直しを促す契機となりました。

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