エッジ・オブ・セブンティーン (映画)

エッジ・オブ・セブンティーン：揺れる17歳の心象風景

1984年、アメリカ・オハイオ州サンダスキー。17歳のエリック・ハンターは、ユーリズミックスを愛するイケメン高校生。親友のマギーとは恋人未満の関係にありましたが、夏休み中のアルバイトで出会ったゲイの大学生ロッドに惹かれていきます。

ロッドとの一夜を境に、エリックは自身のアイデンティティに変化を感じ始めます。髪をブロンドに染め、メイクをし、中性的なファッションを好むようになります。一方、母親のボニーは、エリックのニューヨークでの音楽留学を夢見てシネコンで働き始めます。

あるパーティーでゲイ差別的な扱いを受けたエリックは、地元のゲイバー「ユニバーサル」に逃げ込みます。そこで出会った人々との交流の中で、エリックは新たなコミュニティを見つけ、初めての性的経験もします。しかし、その経験は、エリックに喜びと同時に孤独をもたらしました。

その後、エリックはロッドとの関係に終止符を打ち、マギーにカミングアウトします。マギーはショックを受けながらも、エリックを理解し、友情を続けようとするものの、エリックは、自身の同性愛と、マギーへの友情の間で苦悩します。

ユニバーサルで出会った大学生ジョナサンと惹かれ合うエリック。しかし、マギーがその様子を目撃し、誤解から友情に終止符が打たれます。エリックはジョナサンを探し、ロッドとも再び関係を持つようになりますが、その行為はエリック自身の心の混乱を反映するものだったのかもしれません。

エリックの行動の変化を察知したボニーは、エリックを厳しく問い詰めます。そして、エリックはついに母親に自分の同性愛を打ち明けます。ボニーは最初は戸惑いつつも、エリックを受け入れ、母子の絆はより一層深まります。

失意のどん底にいたエリックでしたが、ユニバーサルで仲間たちとの再会を果たし、ジョナサンとも再会。そして、アンジーの歌声に包まれながら、エリックは未来への希望を見出します。

この映画は、80年代のポップミュージックをバックに、17歳のエリックの葛藤と成長を鮮やかに描いています。ティーンエイジャーの同性愛への目覚め、カミングアウト、そして友人や家族との関係の変化。これらのテーマを、軽妙なユーモアと繊細な感情描写で描き出し、観る者に深い感動を与えます。

キャスト:

エリック・ハンター：クリス・スタッフォード
マギー：ティナ・ホームズ
ロッド：アンダーセン・ガブリッチ
ボニー・ハンター：ステファニー・マクヴェイ
* アンジー：リア・デラリア

主な舞台: オハイオ州サンダスキーとその周辺

受賞歴:

この映画は、ニューヨーク・レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー映画祭やサンダンス映画祭で高く評価され、数々の賞を受賞しました。Rotten Tomatoesでは、高い評価を得ており、ティーンエイジャーのカミングアウト映画として、思春期の激しい性の不安定と欲望を鮮烈に描き出した作品として称賛されています。

音楽:

映画のサウンドトラックには、ユーリズミックス、ブロンスキ・ビート、フロック・オブ・シーガルズなど、80年代を代表するアーティストの楽曲が多数収録されています。これらの楽曲は、映画の世界観をさらに豊かに彩っています。

その後:

脚本家のトッド・スティーヴンスは、その後もLGBTQ+をテーマにした作品を制作し続けています。

『エッジ・オブ・セブンティーン』は、単なる青春映画ではなく、同性愛者であること、そして自分自身を受け入れることの大切さを訴えかける、普遍的なテーマを持つ作品です。80年代のノスタルジックな雰囲気と、繊細な感情描写が絡み合い、忘れられない感動を与えてくれるでしょう。

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