ユーリズミックス

ユーリズミックス：時代を彩った革新的サウンドとパフォーマンス

1980年代、世界中を席巻したイギリスの音楽デュオ、ユーリズミックス。アニー・レノックスとデイヴ・スチュワートからなるこのユニットは、その独創的なサウンドと、アニー・レノックスの圧倒的な存在感で、音楽史に名を刻みました。

結成から初期の成功まで

1980年、アニー・レノックスとデイヴ・スチュワートは、共に活動していたバンド「The Tourists」を経てユーリズミックスを結成します。The Tourists時代には恋人同士でもあった2人ですが、ユーリズミックスでの活動開始を機に恋愛関係を解消、音楽活動に専念することにしました。The Tourists時代の「二人だけのデート」カバーのスマッシュヒットも、その音楽的才能を証明する出来事でした。

ユニット名の由来は、アニー・レノックスが幼少期に学んだヴァルドルフ学校での授業、ルドルフ・シュタイナーの提唱する舞踏芸術「オイリュトミー (Eurythmy)」に由来しています。この芸術的な背景が、ユーリズミックスの独特な世界観を形作る礎となりました。

1983年、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンが全盛を極める中、「スウィート・ドリームス (アー・メイド・オブ・ディス)」が全米1位を獲得。クールで洗練されたエレクトリック・ポップサウンドと、短髪で中性的な魅力を放つアニー・レノックスのビジュアルは、強いインパクトを与え、瞬く間に世界的な人気を博しました。ミュージックビデオでの男装や、シングル曲「セックスクライム」などが、性表現に対する規制が厳しいアメリカにおいて放送規制の対象となるなど、話題を呼ぶことも少なくありませんでした。その後、「ヒア・カムズ・ザ・レイン・アゲイン」でブルー・アイド・ソウルとエレクトロニクスサウンドを融合させ、アニー・レノックスのソウルフルな歌声が際立つ楽曲制作へとシフトしていきます。

代表曲と進化

1984年には、マイケル・ラドフォード監督による映画『1984』のサウンドトラックに参加。「Sex Crime」をシングルとしてリリースし、日本では「1984のテーマ（セックスクライム）」のタイトルで発売されました。

スティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加したことでも話題となった1985年の「ゼア・マスト・ビー・アン・エンジェル (プレイング・ウィズ・マイ・ハート)」は、ユーリズミックスの代表曲の一つとして、全英チャート1位を獲得。歌い出しのスキャットは非常に印象的で、日本ではCM音楽などでも広く使用され、高い人気を誇ります。ルチアーノ・パヴァロッティとのデュエットバージョンも存在するなど、その人気は多方面に渡ります。同年、アニー・レノックスはアレサ・フランクリンとのデュエット曲「Sisters Are Doin' It For Themselves」でウーマンリブをテーマにした楽曲をヒットさせました。

活動休止とその後

1990年代に入ると、ユーリズミックスは活動を停止。その後、アニー・レノックスとデイヴ・スチュワートはそれぞれソロ活動に専念しました。1999年に一時的に再結成を果たしましたが、その後再び活動休止期間が続きます。しかし、2022年5月4日には米Rock & Roll Hall of Fame Foundationのロックの殿堂でパフォーマンス賞を受賞するなど、その功績は今も高く評価されています。

日本公演

ユーリズミックスは日本でも高い人気を誇り、数々の公演を行いました。1984年、1987年、そして1989年には、名古屋、大阪、東京、横浜など各地でライブを行い、多くの日本のファンを魅了しました。

まとめ

革新的なサウンドと、アニー・レノックスのカリスマ性によって、音楽シーンに大きな影響を与えたユーリズミックス。彼らの音楽は、時代を超えて人々の心に響き続けるでしょう。その音楽性とパフォーマンス、そして日本公演の歴史は、音楽史に輝く重要な一ページを刻んでいます。

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