エディ&マーティンの逃走人生

エディ&マーティンの逃走人生

1999年に公開されたアメリカ合衆国のコメディ映画、『エディ&マーティンの逃走人生』（原題：Life）は、ある不運な出来事をきっかけに人生を狂わされた二人の男が、理不尽な運命に立ち向かう姿を描いた作品です。テッド・デミが監督を務め、主演のエディ・マーフィ自身も製作に名を連ねています。

物語は、スリで日銭を稼ぐレイと、持ち金を強奪されて困窮していたクロードが出会うことから始まります。ひょんなことから知り合った二人は、危険な密造酒の取引に関わることになります。この取引自体は成功を収めますが、その直後、近くで発生した殺人事件に巻き込まれてしまうのです。

運悪く事件現場の近くにいただけだったにも関わらず、二人は犯人として逮捕され、無実を訴える声も虚しく、終身刑を宣告されてしまいます。こうして、全く身に覚えのない罪によって自由を奪われたレイとクロードは、過酷な監獄での長い長い共同生活を送ることになるのです。

本作は、コメディというジャンルでありながら、冤罪によって人生を破壊され、閉ざされた空間での生活を強いられるというシリアスなテーマを扱っています。不条理な状況下で、レイとクロードがどのように日々を生き抜き、互いに影響を与え合いながら、時にユーモアを交え、時に現実の厳しさに直面していくのかが描かれます。長期にわたる監獄生活の中で生まれる二人の絆や、ささやかな希望を見出そうとする姿勢が、物語の中心となります。

制作陣には、監督のテッド・デミのほか、ブライアン・グレイザーや主演のエディ・マーフィが製作として参加。脚本はロバート・ラムゼイとマシュー・ストーンが手掛け、二人の主人公が置かれる状況の不条理さや、そこから生まれる人間ドラマを描き出しました。撮影はジェフリー・シンプソンが担当し、監獄という閉鎖的な空間や、過去と現在の対比を視覚的に表現しています。音楽はワイクリフ・ジョンが担当し、物語のムードを盛り上げています。また、特殊メイクはリック・ベイカーが手掛けるなど、各分野の才能が集結して作り上げられました。

日本語吹替版の制作には、演出を蕨南勝之が、翻訳を岸田恵子が担当し、キャラクターたちの個性やセリフのニュアンスを日本語で再現しています。

『エディ&マーティンの逃走人生』は、予想だにしない出来事によって大きく狂わされた人生を、時に悲哀を、時に笑いを交えて描き出す作品であり、観る者に人生の不条理さや、逆境における人間の強さについて考えさせる、記憶に残る一編と言えるでしょう。

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