エデン・パストラ

エデン・パストラ：革命と波乱の生涯

エデン・アナスタシオ・パストラ・ゴメス（1937年1月22日 - 2020年6月13日または6月16日）は、ニカラグアの政治家、革命家です。「ゼロ司令官」(Comandante Cero)の異名を持ち、20世紀後半のニカラグア政治に大きな影響を与えました。2006年には大統領選挙に出馬しましたが、落選しました。

生い立ちと革命運動

パストラは[マナグア]]近郊のダリオ市で生まれました。ソモサ王朝の独裁体制に抵抗し、[[サンディニスタ民族解放戦線]に入党。ゲリラ戦士として活動を開始しました。

1978年8月22日、首都マナグアの国家宮殿襲撃事件を指揮し、一躍その名を知られるようになります。政府閣僚や国会議員、アナスタシオ・ソモサ・デバイレの甥を含む約500人を人質にとり、仲間の解放と身代金を要求。その結果、約60人のサンディニスタ政治犯が釈放され、パストラ自身も国民との再会を約束してキューバへ亡命しました。

この大胆な行動はニカラグア国民から熱狂的な支持を受け、パストラは「ゼロ司令官」として知られるようになります。この事件は、その後のサンディニスタ革命へと繋がる重要な転換点となりました。

革命後の転身

しかし、1979年にサンディニスタ革命が成功すると、パストラは革命政権の急速な左傾化に失望し、1981年7月にニカラグアを脱出。その後、CIAの支援を受けるコントラの一員となり、民主革命同盟(ARDE)を率いて、コスタリカからニカラグア革命政権への越境攻撃を繰り返しました。

1984年5月30日、ラ・ペンカで爆弾テロに遭遇し、自身も負傷。このテロでは、外国人ジャーナリスト3人と一般市民4人が犠牲となりました。犯人は、コントラを裏切ったパストラに対するCIAの報復とも、反政府活動家と見なしたサンディニスタ政府の暗殺計画とも言われていますが、真相は不明です。

その後

その後、ARDEを辞任したパストラは帰国し、コスタリカ国境に近いサン・フアン川に面したサン・フアン・デ・ニカラグアで鮫の魚釣企業を経営していました。2010年にはサンディニスタと和解し、ダニエル・オルテガ政権の閣僚としてコスタリカとの国境紛争に関与。このことがコスタリカ政府からの提訴に繋がりました。

2020年6月13日、首都マナグアの軍事病院で新型コロナウイルス感染症（COVID-19）による気管支肺炎のため死去したと報じられましたが、後に海外に住む息子が生存を証言。最終的には6月16日に心臓発作で死去したと発表されました。享年83歳。

エデン・パストラの生涯は、革命、内戦、そして和解という、激動のニカラグア現代史を象徴するものと言えるでしょう。

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