エドゥアール・シャットン

フランスの著名な動物学者であり海洋生物学者でもあったエドゥアール・ピエール・レオン・シャットンは、1883年10月11日にロモンで誕生し、1947年4月23日にバニュルス＝シュル＝メールでその生涯を終えました。彼は植物分類における命名者「Chatton」としてもその名が残されています。

彼の科学的な貢献の中でも最も重要とされるのは、生物をその細胞の根本的な構造に基づいて二つの大きなグループに分類する体系を提案したことです。この分類は「二帝説」として知られ、明確な細胞核を持つ真核生物（Eukaryota）と、細胞核を持たない原核生物（Prokaryota）という二つの超区分に分けられます。シャットンは、これらを動物界や植物界といった「界」よりも高次の分類レベルとして提唱した先駆者であり、真核生物および原核生物という学名の命名者でもあります。この革新的な分類は、その後の生物分類体系、例えば五界説や三ドメイン説といった枠組みにおいて不可欠な基盤となり、彼の分類学における先見性が現代でも高く評価されています。

シャットンはベルフォールで教育を受け、1901年にバカロレアを取得しました。学問への情熱を深め、1905年には修了証書と自然科学の学士号を、そして1919年には博士号を取得しています。

彼の研究者としてのキャリアは、1907年にパスツール研究所で始まりました。ここではフェリックス・メニルの指導のもと、1919年まで研究室長を務め、多大な貢献をしました。しかし、研究活動は第一次世界大戦によって影響を受けます。1914年8月には戦地へ送られ、翌年には負傷しました。戦時中の功績に対し、軍功章や植民功績章など、いくつかの勲章が授与されています。また、1918年には一時的にチュニスのパスツール研究所で助手として勤務しました。

戦後、シャットンはアカデミックな世界でその才能をさらに開花させます。1919年にストラスブール大学の講師となり、わずか3年後の1922年には教授へと昇進しました。ストラスブール大学においては、1927年以降、動物学および一般生物学の研究を牽引する研究所の長として指導力を発揮しました。1930年には高等研究実習院の微生物研究所長も兼任するなど、その活動範囲は多岐にわたりました。

1932年からはモンペリエで動物学と一般生物学の教育にあたり、同時にセットに設立された海洋生物学研究施設の長として、海洋生物学の発展に貢献しました。さらに、1937年にはパリ理科大学の海洋生物学教授に就任し、フランスにおける海洋生物学研究の重要な拠点であるバニュルス＝シュル＝メールとヴィルフランシュ＝シュル＝メールに位置するアラゴ研究所の運営責任者も務めました。これらの長年の功績により、彼は1932年にストラスブール大学、そして1937年にモンペリエ大学から名誉教授の称号を受けています。

シャットンは研究・教育活動に加え、様々な学会でも積極的に活動しました。フランス動物学会では1928年から、熱帯病理学会では1912年から代表を務めるなど、学術コミュニティにおいてもリーダーシップを発揮しました。彼の研究成果は、海洋学、生物学、動物学、熱帯病といった幅広い分野にわたり、約240に及ぶ著作として専門誌等に発表されています。特に1925年の論文「Pansporella perplexa. Réflexions sur la biologie et la phylogénie des protozoaires」は、二帝説の提唱を含む重要な内容となっています。

エドゥアール・シャットンの生涯とその多大な業績は、特に生物をその細胞の基本構造で捉え直すという点で、現代生物学の基礎を築いた偉大な科学者として記憶されています。

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