エドガール・ルロワ

エドガール・ルロワの生涯と業績

エドガール・ルロワ（Edgar Leroy）は1883年4月17日にフランスのリールで誕生し、1965年4月2日に亡くなるまで精神科医および郷土史家として活動していました。特に、ノストラダムスの伝記研究においては実証的なアプローチを取り入れた先駆者として知られ、現在も多くの研究者から高く評価されています。彼の業績はノストラダムスに関する歴史的かつ文学的な視点を深める重要な一助となっています。

彼は生物学の学士号と精神医学の博士号を取得した後、第一次世界大戦で家財を失い、サン＝レミ＝ド＝プロヴァンスに精神科医として赴任しました。その後、ルロワはこの町で生涯を過ごしながら、地元の歴史的な人物、特にゴッホとノストラダムスに対して関心を持ち、徹底した調査を行いました。

ノストラダムスに関する研究

ルロワは、ノストラダムスに関して『プロヴァンス歴史学研究所論集（Mémoires de l’Institut Historique de Provence）』や『歴史的プロヴァンス（Provence Historique）』、さらには医学史系の雑誌『医学史（Histoire de la Médecine）』において、合計13本の論文を発表しました。これらの研究において彼は、伝記研究における新たなアプローチを示し、古い文献や史料を丹念に調査することによって、ノストラダムスに関する伝説的な要素を排除する努力を行いました。このような手法は、歴史研究において重要な手続きであるにもかかわらず、ルロワ以前にはほとんど実施されていなかったのです。

さらに彼が注目した点は、ノストラダムスの四行詩の中に、サン＝レミの風景や史跡と一致するモチーフが含まれている可能性があるということです。この提案は、ノストラダムスが自身の少年時代の記憶を作品に反映させたという仮説を支持するものであり、後の研究者たちにも影響を与えています。特に、ピエール・ブランダムールによるノストラダムス予言集の校定版でも、ルロワの仮説が参照されています。

ルロワの著作とその評価

生前、ルロワは自らの研究結果を一冊の書にまとめることを試みたとされていますが、実現には至りませんでした。この点について、マルグリット＝マリー・デルリュー＝ルロワは、彼の実証的な研究が当時の通俗的なノストラダムス関連書と比べて受け入れられにくかったのではないかと指摘しています。

彼の執筆した著作『ノストラダムス：その出自、生涯、作品』は、彼の死後7年目の1972年にサン＝レミの市当局の主導により出版されました。さらに1993年には、同様の協力によって改訂版も発行されました。これにより、ルロワの成果が広く一般に伝えられる機会が生まれ、多くの人々に影響を与えることとなりました。

ルロワの研究は、特にノストラダムスの生涯に対する新たな視点を提供し、後の伝記や研究においても多くの参考にされています。彼の業績は、伝記研究における方法論の重要性を教えてくれる良い例であり、歴史を研究する上での基本的な姿勢を示しています。

もう一度検索