エドガー・ライス・バローズ

エドガー・ライス・バローズ：冒険とロマンの巨匠

エドガー・ライス・バローズ (1875年9[[月1日]] - 1950年3[[月19日]]) は、アメリカ合衆国を代表する冒険小説家です。SF小説『火星のプリンセス』で知られ、火星シリーズ、ターザンシリーズ、ペルシダーシリーズといった人気シリーズを世に送り出しました。これらのシリーズは彼の創作活動の初期から晩年まで継続され、『バローズの三大シリーズ』として高く評価されています。金星シリーズを加えると四大シリーズとなります。

波乱万丈の生涯

イリノイ州シカゴに生まれたバローズは、軍人になることを夢見て軍人養成学校に入学するも退学、ウエストポイント陸軍士官学校への入学も叶いませんでした。その後は、父の会社の事務員、騎兵隊員、会計係など様々な職を転々とし、鉱山師や鉄道保安官、速記屋、セールスマンなどを経験するなど、安定した職に就くことはありませんでした。ミシガン・ミリタリー・アカデミー卒業後は第7騎兵隊に入隊しアリゾナ州フォート・グラントに配属されました。1900年にはエマ・ハルバートと結婚しますが、広告代理店経営など、ビジネスにも成功しませんでした。

転機は1911年に訪れます。オール・ストーリーズ・マガジン社に送った小説原稿が採用され、1912年2月から『火星のプリンセス』(当初は『火星の月の下で』)の連載が始まりました。当初の原稿料は400ドルでしたが、ターザン・シリーズ第1作『類猿人ターザン』では700ドルに増加し、1913年には人気作家としての地位を確立、貧困生活から脱却します。その後も精力的に執筆活動を続け、火星シリーズ、ターザン・シリーズなどで成功を収めます。1917年には『火星のプリンセス』が単行本として出版されました。

1917年にカリフォルニア州サンフェルナンドバレーに土地を購入、豪邸を建てて『ランチョ・ターザナ』と名付けました。後にこの地は「ターザナ」と改名され、彼の功績が称えられています。1930年には原稿料が8000ドル(処女作の20倍)にまで跳ね上がり、人気作家の地位を不動のものにしました。

しかし、人生は順風満帆ではありませんでした。1935年には最初の妻と離婚、1941年には2番目の妻とも離婚を経験します。真珠湾攻撃を目撃し、第二次世界大戦中には従軍記者として従事、ロサンゼルス・タイムズの特派員としてB-29の爆撃にも参加しました。1950年、カリフォルニア州エンシーノで心臓病のため死去しました。

作品の特徴と世界観

バローズの作品は、冒険とロマンに彩られた物語が特徴です。ハードSFは少ないものの、火星シリーズや金星シリーズでは独自の惑星冒険を展開し、ペルシダーシリーズではロストワールドものの要素を取り入れています。多くの作品で、ヒーローとヒロインは王族や貴族といった高貴な家系であることが多く、アメリカ人の王侯貴族への憧憬が反映されているとも言われています。

彼の作品における物語構成は独特です。複数の登場人物やグループが登場し、それぞれの行動が交互に描かれ、最終的に一つの目標に合流する展開が多く見られます。ヒーローは紳士的で屈強な戦士ですが想像力に欠ける面もあり、ヒロインは美しく貞淑で受動的なタイプが多いです。キャラクター像は紋切り型な部分もあります。

初期の作品では古めかしい語り口や不器用な描写も指摘されていますが、中期以降は文体が洗練され、軽妙なタッチの作品も発表するようになります。また、シリーズものは数十年間に渡り執筆されたため、登場人物の年齢や世代交代、主人公交代も作品に変化をもたらしています。火星シリーズやペルシダーシリーズでは、主人公の子供や友人が主人公を務める作品もあり、終盤では再び最初のヒーローが主役として登場する作品も見られます。長編から短編・中編へと執筆形式が変化していくのも、バローズの晩年の作品の特徴です。

作品間の繋がり

バローズの作品世界は、互いに関連している場合があります。たとえば、火星シリーズではペルシダーシリーズに登場する「グリドリー波」が登場し、ターザンシリーズではターザンがペルシダーを訪れる物語が存在します。『石器時代から来た男』ではターザンの先祖や、他の作品に登場するキャラクターが脇役として登場し、複数の作品がクロスオーバーしています。

映像化作品

バローズの小説は、数多くの映画やテレビ作品に映像化されています。特にターザンシリーズは非常に多くの作品があり、『火星のプリンセス』を原作とした映画『ジョン・カーター』なども製作されています。

まとめ

エドガー・ライス・バローズは、独自の冒険小説、SF小説の世界を築き上げた巨匠です。彼の作品は、現在でも世界中で愛読されており、その影響は現代の冒険小説やSF小説にまで及んでいます。彼の生涯と作品を理解することは、冒険文学史を理解する上で重要な要素となります。

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