エドマンド・オブ・ウッドストック (初代ケント伯)

初代ケント伯エドマンド・オブ・ウッドストック：王室の血筋、忠誠、そして悲劇

初代ケント伯エドマンド・オブ・ウッドストック（1301年 - 1330年）は、イングランド王エドワード1世の息子として生まれ、エドワード2世の異母弟にあたる人物です。彼の生涯は、当時のイングランド王室における権力闘争、忠誠心、そして最終的には悲劇的な結末を迎えるものでした。

生い立ちと家族

エドマンドは、エドワード1世が2番目の妃マーガレット・オブ・フランスとの間に設けた息子であり、1301年8月5日にオックスフォードシャーのウッドストックで生まれました。彼は、イングランド王子であると同時に、母を通じてフランス王フィリップ3世の孫でもありました。エドワード1世は、息子たちに手厚い支援を与えることを望んでいましたが、1307年に亡くなると、異母兄であるエドワード2世が王位を継承し、状況は一変します。

エドワード2世の治世

エドワード2世は、父の遺志を尊重せず、寵臣であるピアーズ・ギャヴィストンを重用しました。エドマンドは兄に忠誠を誓い、1321年にはケント伯に叙せられます。彼は外交官および軍司令官としてエドワード2世の政権で重要な役割を果たし、1321年から1322年にかけての反乱鎮圧に貢献しました。

しかし、エドワード2世に対する不満は高まり、やがてエドマンドにも影響を及ぼします。この不満は、主にエドワード2世が新たな寵臣である小ヒュー・ル・ディスペンサーとその父を寵愛したことに起因していました。

反乱への参加と処刑

1326年、エドマンドは王妃イザベラとロジャー・モーティマーが率いる反乱に参加し、エドワード2世は廃位されました。しかし、エドマンドは新政権とうまく折り合わず、1330年に新たな反乱を計画しているところを捕らえられ、処刑されてしまいます。

死後の名誉回復

新王エドワード3世が成人し、自ら政府を掌握すると、エドワード3世は叔父エドマンドに対する告訴を死後に無効にしました。ケント伯の称号と領地は、エドマンドの息子エドマンドに引き継がれました。エドマンドは正式に無罪となりましたが、その政治的行動が信用できなかったため、生前もその後もあまり評判が芳しくありませんでした。

スコットランドおよびフランスとの関係

エドマンドは、スコットランドとの戦いやフランスとの外交交渉にも関わりました。彼は、イングランド軍が敗北したオールド・バイランドの戦いにも参加し、フランス王との外交交渉では、アキテーヌにおけるエドワードの副官に任命されました。

エドワード2世の廃位

エドワード2世がフランス王に対する臣下の礼を拒否したため、王妃イザベラが交渉のためにフランスへ派遣されました。エドマンドはイザベラとモーティマーが率いるイングランド侵攻に参加し、エドワード2世は廃位されました。クーデターへの参加に対して、エドマンドはディスペンサー家とアランデル伯の領地を報酬として受け取りました。

死とその後

反乱計画に参加した後、エドマンドは宮廷で人気を失い、1330年に反逆罪で処刑されました。エドマンドの処刑は、エドワード3世がイザベラおよびモーティマーに対して蜂起する決断をする一因となりました。モーティマーは処刑され、エドマンドに対する告発は取り消されました。エドマンドの領地と称号は長男エドマンドに受け継がれましたが、その後、次男ジョンがケント伯位を継承しました。

エドマンドは、その生涯において政治的な信頼性に欠ける人物と見なされ、忠誠心を何度も変えたことが、その評判を損ねた要因と考えられています。しかし、エドワード2世に多大な忠誠心を示したとも言われています。

子女

エドマンド（1326年 - 1331年） - 第2代ケント伯
マーガレット（1327年 - 1358年）
ジョーン（1328年 - 1385年） - 第4代ケント女伯
ジョン（1330年 - 1352年） - 第3代ケント伯

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