エドワード・グランヴィル・ブラウン

エドワード・グランヴィル・ブラウン

エドワード・グランヴィル・ブラウン（Edward Granville Browne, 1862年2月7日 – 1926年1月5日）は、イギリスの東洋学者、イラン学者として知られています。E. G. ブラウンというイニシャルで言及されることも多く、ペルシア研究における第一人者として、その名を知られています。

生涯

1862年、ブラウンはイングランドのグロスターシャーで、裕福な造船業を営む家庭に生まれました。父サー・ベンジャミン・チャップマン・ブラウンは、彼の教育と進路に大きな影響を与えました。プレパラトリー・スクール、イートン校を経てケンブリッジ大学に進学。中東への関心は、1877年の露土戦争をきっかけに芽生え、トルコへのシンパシーからペルシアやアラブへと興味が広がりました。

ケンブリッジ大学では、当初、父の意向で工学を学びましたが、エドワード・ヘンリー・パルマー、ウィリアム・ライトからアラビア語を、エドワード・バイルズ・コウェルからペルシア語を学びました。父は東洋の言語を学ぶことを職業にすることに難色を示し、医師の資格取得を勧めましたが、ブラウンは医学の勉強と並行して、イスラーム世界の言語研究に没頭しました。彼は文献学に深く傾倒することはなく、実践的な学習方法を重視し、ネイティブスピーカーとの交流を通じて言語や文化を習得しました。

1887年、父の期待に応えて医師の資格を取得。そのお祝いとしてペルシア旅行を許されました。この旅行は1887年から1888年にかけて行われ、帰国後、その経験を『A Traveller's Narrative (1891)』や『A Year Among the Persians (1893)』に著しました。

『ペルシア人たちの間で過ごした一年』は、ペルシア社会を生き生きと描き出し、紀行文学の古典として高く評価されています。また、『ペルシア文学史』は、1902年から1924年にかけて全四巻が出版され、ペルシア文学研究における権威ある文献として、今日でも広く参照されています。

1902年4月、ケンブリッジ大学のアラビア語講座の教授に選出され、後進の指導にもあたりました。私生活では、1906年にフランシス・ヘンリー・ブラックバーン・ダニエルの娘と結婚し、二人の息子をもうけました。1926年、ケンブリッジで生涯を閉じましたが、彼の功績は今もなおペルシアの人々に記憶されており、テヘランには彼の名を冠した通りや立像が存在します。

バビ教・バハイ教研究

ブラウンはバハイ教徒ではありませんでしたが、スーフィズム研究の過程でアルテュール・ド・ゴビノーの著作に出会い、バビ教の諸運動に興味を持つようになりました。アブドル・バハの歴史書『旅人の話』を翻訳し、詳細な序文と注釈を加えました。また、バブの後継者問題をめぐるバビ教徒の議論や、バハオラ派とミールザー・ヤフヤー（スブヒ・アザル）の対立にも関心を寄せました。ブラウンは、スブヒ・アザルがバブの後継者であると考えていました。

主な著書

Religious Systems of the World: A Contribution to the Study of Comparative Religion (1889)
A Traveller's Narrative: Written to illustrate the episode of the Bab (1891)
A Year Among the Persians (1893)
A chapter from the history of Cannabis Indica (1897)
A Literary History of Persia (1908)
The Persian Revolution of 1905–1909 (1910)
Arabian Medicine(1921)

参考文献

Balyuzi, H.M. (1970). Edward Granville Browne and the Bahá'í Faith. Oxford, UK: George Ronald. ISBN 0-85398-023-3
* Ross, Christopher N. B. "Lord Curzon and E. G. Browne Confront the 'Persian Question'", Historical Journal, 52, 2 (2009): 385–411, doi:10.1017/S0018246X09007511

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