エドワード・ソジャ

エドワード・ウィリアム・ソジャ（1940年 - 2015年）は、アメリカ合衆国の著名な社会学者、地理学者であり、都市社会学、社会理論、そして批判地理学の分野で多大な貢献をしました。彼は特に、都市研究におけるロサンゼルス学派の一員として知られています。

ソジャは1967年にシラキューズ大学で博士号を取得後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）都市計画学部の教授として教鞭を執りました。初期の研究はアフリカの近代化に焦点を当てていましたが、1980年代に入ると、空間の意味とその変容に対する関心を深め、ロサンゼルスを事例とした研究を精力的に進めました。この研究を通じて、彼は地理学の枠組みを超えた学際的なアプローチを採用し、社会理論と地理学の融合を試みました。

ソジャの業績の中でも特に重要なのは、空間的視点を社会理論に取り入れたことです。彼は、単なる背景として扱われがちだった空間を、社会現象を理解するための能動的な要素として捉え直しました。この視点は、その後の都市研究や社会理論に大きな影響を与えました。

彼の代表的な著書には、以下のようなものがあります。

Postmodern Geographies: the Reassertion of Space in Critical Social Theory（1989年）：この著作でソジャは、社会理論における空間の重要性を主張し、ポストモダニズムの視点から空間概念を再構築しました。
Thirdspace: Journeys to Los Angeles and Other Real-and-Imagined Places（1996年）：この著作では、「第三空間」という概念を提唱し、現実の空間と想像の空間、そして社会的な空間が相互に作用し合う場としての都市を分析しました。
Postmetropolis: Critical Studies of Cities and Regions（2000年）：この著作では、ロサンゼルスを事例に、ポストモダンの都市が抱える問題や可能性を批判的に考察しました。
Seeking Spatial Justice（2010年）：空間的正義の探求。

これらの著作を通じて、ソジャは都市の複雑な構造と、そこに生きる人々の社会的な経験を深く掘り下げました。彼の研究は、都市計画、地理学、社会学など、幅広い分野の研究者に影響を与え続けています。ソジャは、空間の重要性を社会理論に導入し、都市研究の新たな地平を切り開いた、20世紀後半を代表する思想家の一人と言えるでしょう。

加藤政洋氏による翻訳で『第三空間』が出版されており、より日本でもソジャの研究に触れやすくなっています。また、他の研究者との共著や編著も多数あり、学術的な交流も積極的に行っていました。

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