エニックス

株式会社エニックスの歴史と業績

株式会社エニックス（ENIX Corporation）は、日本のゲーム業界において重要な位置を占めていたゲームメーカーであり、出版社でもありました。1975年に創業し、2003年にスクウェアと合併するまでの道のりは、革新と挑戦の歴史と言えます。

創業からの歩み

エニックスの始まりは1975年9月に遡ります。福嶋康博によって設立された「営団社募集サービスセンター」は、初めは公団住宅の情報誌を発行する出版社として活動していました。1982年に子会社としてエニックスを設立し、パソコンソフトの開発へと進出。この年には大規模なプログラムコンテストを開催し、翌年には13本のソフトをリリースするという快挙を成し遂げました。

1984年には任天堂と提携し、家庭用ゲーム機市場に本格的に参入。1998年にリリースした『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、大ヒットを記録し、エニックスの名を広めました。この作品は、ゲーム業界における社会現象となり、さらにエニックスには「ドラクエ課」という専門部署が設けられるほどの影響を持ちました。

出版事業と多岐にわたる活動

エニックスは1990年から新たに出版ビジネスにも着手し、1991年には『月刊少年ガンガン』を創刊しました。これが成功を収め、その後、多くの派生雑誌が登場しました。また、映像ソフトの制作やアニメソング制作にも取り組み、自社レーベル『PLENTY SAMAN』を立ち上げるなど、幅広い業績を挙げました。

ちなみに、社名の「エニックス」は、初代の汎用デジタルコンピュータ「ENIAC」と不死鳥「PHOENIX」から取られた造語です。特に、ドラクエシリーズの成功により、エニックスは日本の主要ゲーム会社の一つとなったものの、実際には開発機能を持たず、主にパブリッシャーとして活動していました。

クリエイターの発掘

エニックスは、クリエイターを発掘するために定期的にプログラムコンテストを行いました。1982年に初開催されたコンテストでは、賞金総額300万円を用意し、239点の応募作品から13本を選出、販売されました。中でも中村光一という天才プログラマーが台頭し、彼の名は後に『ドラゴンクエスト』シリーズの成功に貢献しました。

また、エニックスは1995年から毎年開催される「エニックスマンガ大賞」や、アニメクリエイターを対象とした「エニックスアニメ企画大賞」など、さまざまなコンテストを通じて新たな才能を目覚めさせてきました。特に、アニメ企画部門では審査員に著名なクリエイターを迎え、出身者には今井麻美などの著名な声優もいます。

合併とその後

2002年にスクウェアとの合併が発表され、2003年4月1日には正式に「スクウェア・エニックス株式会社」が設立されました。この合併に当たっては、当初の合併比率が議論を呼び、最終的にエニックスがスクウェアの0.85倍の比率で合併されることになりました。

結論

株式会社エニックスは、ゲーム業界の中で特異な存在であり、多数の優れた作品を世に送り出し続けました。その後のスクウェア・エニックスの形成に大きな役割を果たしたエニックスの歴史は、今なお多くのファンに影響を与え続けています。

もう一度検索