エヌティー

エヌティー株式会社：カッターナイフのパイオニア

エヌティー株式会社は、大阪府大阪市東住吉区に本社を置く、刃物製品を製造・販売する企業です。その歴史は、世界で初めてシャープナイフ（現在のカッターナイフ）を商品化したことで知られています。現在では「NTカッター」ブランドとして、国内外で広く認知されています。

創業と初期の事業

1948年8月、井畑養三によって「井畑商店」が創業されました。当初はオフセット印刷用転写紙の製造・販売を手掛けていましたが、その後、「日本転写紙株式会社」を設立し、転写紙の製造・販売を主な事業とするようになりました。この転写紙事業が、後にカッターナイフ開発へと繋がる重要な要素となります。

カッターナイフ誕生の背景

1950年代後半、オルファ株式会社の創業者である岡田良男氏が、刃を折る方式のナイフを考案しました。岡田氏は、その事業化に向けて日本転写紙株式会社に協力を求め、自らも役員として参画しました。1959年、岡田氏が考案したナイフは「シャープナイフ」として特許を取得し、日本転写紙株式会社から発売されました。これが世界初のシャープナイフ、つまりカッターナイフの誕生です。

「NTカッター」ブランドの確立

1960年、ブランド名を「NTカッター」と決定しました。この時、現在では一般的な呼称となっている「カッター」という言葉を初めて使用しました。同年には、量産型A型カッターが発売され、以降、カッターナイフの開発・改良を重ね、主力商品として成長していきました。その後、社名も「エヌティー株式会社」へと変更し、現在に至ります。

歴史

1948年：井畑養三が「井畑商店」を創業、オフセット印刷用転写紙の製造・販売を開始。
1953年：「日本転写紙株式会社」設立。
1955年：東京都中央区に出張所を開設し、転写紙の販路を拡大。
1959年：特許を取得した「シャープナイフ」を発売。世界初のカッターナイフの商品化に成功。
1961年：ブランド名を「NTカッター」に決定し、量産型A型を発売。西ドイツのフランクフルト見本市に出品、輸出を開始。
1963年：東京都練馬区に東京支店を開設。初のペン型ナイフ「D-300」を発売。
1964年：全国主要都市で印刷展、発明展、見本市、包装展に出品。
1968年：エヌティーA型、S型カッターが通商産業省グッドデザイン賞を受賞。
1971年：片面完全フラット型カッター「F-650」を発売。
1976年：L型カッター「L-550」（愛称：赤ギザ）を発売。
1977年：世界初のカートリッジカッター「A-900」を発売。初の円切りカッター「C-2500」を発売。
1982年：新研磨具特許「NTドレッサー」を開発、製造・販売を開始。
1986年：写真製版の増加により転写紙の製造・販売を中止。
1987年：井畑和彦が代表取締役社長に就任。
1988年：社名を「エヌティー株式会社」に変更。
1989年：エヌティー貿易有限会社を設立。
2003年：創立50周年を迎える。
2015年：井畑卓也が代表取締役社長に就任。
2017年：「AD-2P」がグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞。

製品

エヌティーは、以下の製品を製造・販売しています。

NTカッター：様々な種類のカッターナイフを製造・販売。
産業用薄刃刃物：産業用途に特化した薄刃刃物を製造。
NTドレッサー：研磨具を製造・販売。
産業用研磨具：産業用途の研磨具を製造。

これらの製品は、国内だけでなく、海外約100ヶ国以上で販売されています。

まとめ

エヌティー株式会社は、カッターナイフのパイオニアとして、常に革新的な製品を提供し続けています。その歴史は、日本の文具・工具業界の発展に大きく貢献しており、現在もその影響力は色褪せていません。

関連情報

文房具
カッターナイフ
工具
工具メーカー
オルファ

外部リンク

エヌティー株式会社
NT Cutter Japan - YouTubeチャンネル

もう一度検索