エパフロデト

エパフロデトは、新約聖書に登場する初期キリスト教の重要な人物の一人です。彼の名前はギリシア語に由来し、「ハンサムな」「魅力的な」といった意味を持っています。彼はマケドニヤ地方のピリピの出身で、使徒パウロの忠実な協力者として知られています。

エパフロデトが聖書に登場するのは、主にパウロがローマで投獄されていた時期のことです。ピリピの教会は、パウロの状況を案じ、彼を支援するためにエパフロデトを派遣しました。エパフロデトは、ピリピの教会から贈り物を持ってパウロのもとへ赴き、献身的にパウロに仕えました。この時、パウロはエパフロデトを「私の兄弟、同労者、戦友」と評し、彼への深い信頼と感謝の念を表しています。

しかし、エパフロデトはパウロに仕える中で重い病に罹ってしまいます。彼は死の淵をさまようほどの深刻な状態でしたが、神の恵みによって奇跡的に回復しました。このエピソードは、エパフロデトの信仰の深さと、神の癒しの力を示すものとして重要です。

エパフロデトが病から回復した後、パウロは彼をピリピの教会へ送り戻すことを決めました。その際、パウロはピリピの教会の人々への手紙をエパフロデトに託し、彼を通じて手紙を送りました。この手紙は、新約聖書に収録されている「ピリピ人への手紙」であり、パウロとピリピの教会の絆を深める上で重要な役割を果たしました。

エパフロデトの生涯は、献身的な奉仕と信仰の模範として、後の世代のクリスチャンたちに大きな影響を与えました。彼は、困難な状況の中でも主への忠誠を貫き、同労者への献身を惜しまなかった人物として記憶されています。

参考文献:『新聖書辞典』いのちのことば社、1985年

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