エビガライチゴ

エビガライチゴ：日本の山野に咲く、ユニークなキイチゴ

エビガライチゴ（学名: Rubus phoenicolasius）は、バラ科キイチゴ属に分類される落葉低木です。日本、中国北部、朝鮮半島といった東アジア地域に自生しており、その独特の風貌から、多くの植物愛好家を魅了しています。

見た目の特徴：毛深い茎と特徴的な葉

エビガライチゴの最大の特徴は、なんといってもその毛深さです。茎はつる状に伸び、全体が紫色の長い毛でびっしりと覆われています。さらに、毛の間に鋭い棘が多数生えており、不用意に触れると引っかかります。まるで海老の殻のような毛深い様子が、名前の由来となっているようです。

葉は三出複葉、つまり、1つの葉柄から3枚の小葉が伸びる形をしています。しかし、頂小葉（一番先端の小葉）が特に大きく発達し、その柄も長いのが特徴です。そのため、他のキイチゴ類とは少し異なる、独特の印象を与えます。葉の表面はつやがなく、細かい毛が寝そべっているように生えています。一方、葉の裏面は白っぽく、特に葉脈の部分には棘が生えているのが確認できます。この葉の裏面の白い様子から、「ウラジロイチゴ」という別名も持っています。

花と果実：初夏の円錐花序と食用になる果実

初夏になると、枝先に円錐花序と呼ばれる、枝分かれした花序を付けます。花は、外側（萼など）に紫色の毛が生えており、花弁は紫ですが、それほど目立ちません。そして、この花から実る果実は、甘酸っぱく、食用として楽しむことができます。生のまま食べても良いですし、ジャムなどに加工して楽しむことも可能です。

生育環境と分布：日本の山野で出会える

エビガライチゴは、比較的日当たりの良い山野に自生しています。やや湿った環境を好む傾向があり、林縁や道端などで見かけることが多いでしょう。日本においては、北海道から九州まで広く分布しており、比較的容易に観察できる植物です。しかし、近年は開発などによる生息地の減少が懸念されており、大切に保護していく必要があります。

まとめ：ユニークな魅力を持つエビガライチゴ

エビガライチゴは、その毛深い茎、特徴的な葉、そして食用になる果実など、多くの魅力を持つ植物です。日本の山野を散策する際には、ぜひそのユニークな姿を探してみてください。 独特の風貌と、甘酸っぱい実の味わいは、忘れられない自然体験となるでしょう。 ただし、棘があるので、観察する際には注意が必要です。

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