エビ大王

エビ大王

「エビ大王」は、洪元基によって書かれた韓国の戯曲であり、2002年のソウル公演芸術祭で作品賞と戯曲賞の両方を受賞した名作です。物語は、王族の悲劇的な行動とその結果を描いており、極端な自己中心的な振る舞いがもたらす破滅的な悲劇をテーマにしています。

あらすじ

物語の中心にはエビ大王という名の暴君がいます。彼は世継ぎの息子を持つことを強く望むあまり、実の末娘であるパリテギを川に捨ててしまうのです。この行動は自己中心的で非情な決断を反映しています。一方で、エビ大王は3000人もの側室を囲ったにも関わらず、思いもよらない運命に直面することになります。

捨てたはずの娘と再会し、共に交わろうとする瞬間が訪れます。その時、エビ大王は自らの愚かさに気づくのです。父として、権力者としての自分の行為が、どれほど他者を傷つけ、そして自分をも滅ぼすものであるかを深く反省します。この劇は、王族でありながらも人間らしい苦悩を持つエビ大王の姿を通じて、権力の絶対性や家族の絆について考えさせるものとなっています。

日本での公演

「エビ大王」は、2005年に日本でも公演されました。劇団「Team ARAGOTO」の旗揚げとなるこの作品は、筧利夫の演出の下、多くの著名な俳優たちが出演しました。出演者には筧利夫をはじめ、サエコ、佐藤アツヒロ、河原雅彦、橋本じゅんらが名を連ねました。この公演は、12月8日から青山劇場で始まり、12月28日からは大阪のシアターBLAVAでも上演されました。

筧利夫が青山劇場で舞台に立つのは、2003年以来2年ぶりのこととなり、多くの観客の期待が集まりました。演出を務めた岡村俊一は、幅広い演技技術と独自の視点でこの作品を生き生きと表現しました。日本での公演は、観客に新たな視点からの理解を促し、韓国の文化や人間ドラマを感じ取る貴重な機会となったのです。

この戯曲は、王の心の葛藤と、彼が犯した罪の重さが観客に迫る作品であり、時代を超えて人々の心に深く響くものとなっています。観衆は、エビ大王の愚行から生まれる悲劇を通じて、自らの行動や選択の重みについて改めて考えさせられることでしょう。

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