エピストロポス

エピストロポス（古希: Ἐπίστροφος, Epistrophos）は、古代ギリシアの神話に登場する男性名です。この名前を持つ人物は複数存在しますが、特に以下の3名がよく知られています。

イーピトスの子エピストロポス

このエピストロポスは、ナウボロスの息子であるイーピトスと、ヒッポリュテーの間に生まれた人物です。彼にはスケディオスという兄弟がいました。彼はスパルタ王メネラーオスの妻となる絶世の美女ヘレネーに求婚した多くの英雄たちの一人として、その名が伝えられています。後に起きたトロイア戦争においては、ギリシア側の一員として参戦しました。彼は故郷であるポーキス地方から集めた兵士たちを率いて、40隻の船団と共にトロイアへと向かったとされています。ただし、この40隻の内訳については、兄であるスケディオスが30隻を、彼エピストロポスが10隻をそれぞれ指揮したという異説も存在します。

エウエーノスの子エピストロポス

次に知られているのは、ミュルネーソスの王エウエーノスの息子であるエピストロポスです。彼にはミュネースという兄弟がいました。この兄弟ミュネースは、叙事詩『イーリアス』でアキレウスの捕虜となり、その寵愛を受けることになる女性、ブリーセーイスの夫であったと伝えられています。トロイア戦争が勃発し、戦火が広がる中で、彼エピストロポスと兄弟のミュネースは、ギリシア軍の中でも最強の戦士と謳われるアキレウスによって討ち取られたと語られています。

メーキステウスの子エピストロポス

最後に挙げられるのは、メーキステウスを父とするエピストロポスです。彼にはオディオスという兄弟がいたとされています。また、別の伝承では、彼の父はミヌウスであるとも語られています。このエピストロポスは、トロイア戦争において、アリゾーン人（またはハリゾーン人とも呼ばれる）と呼ばれるポントス地方の民族を率いて、トロイア側、すなわちプリュアモスの王国の救援のために戦ったと記録されています。

これらのエピストロポスという名の人物たちは、それぞれの出自や役割は異なりますが、いずれもギリシア神話、特にトロイア戦争という大きな物語の中で、脇役ながらも名を残す存在として語り継がれています。彼らの物語は、古代ギリシアの叙事詩や歴史書、神話集などの文献を通じて今日に伝えられています。

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