エフエム和歌山

エフエム和歌山（バナナFM）

エフエム和歌山、通称バナナFMは、和歌山県和歌山市に拠点を置く特定非営利活動法人によって運営されるコミュニティFMラジオ局です。和歌山市、岩出市の全域と、海南市、紀の川市の一部地域を放送エリアとして、地域に根ざした情報発信を行っています。

特徴

バナナFMが開局するまで、和歌山市は県庁所在地でありながら、NHK以外の県域放送局とコミュニティ放送局が存在しないという状況でした。1994年と1995年にイベント放送局が開局したことはありましたが、恒常的な放送局としてはバナナFMが初となります。

2008年4月1日に本放送を開始し、送信所は和歌山市中心部のモンティグレ屋上に設置されています。周波数87.7MHzにちなんで「バナナFM」という愛称が付けられ、「Sweet Banana FM」をキャッチフレーズとしています。

開局当初は和歌山市、岩出市、紀の川市、海南市の一部が可聴地域でしたが、2019年2月には送信アンテナの調整により放送エリアが拡大。岩出市全域、山間部を除く海南市、紀の川市の一部地域でも聴取可能となり、和歌山市内の難聴地域も解消されました。これにより、県人口の約50%が聴取可能となっています。

オープニングにはロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲 第3楽章 松明の踊り」、クロージングにはグリーグの「ピアノ協奏曲第1番・第3楽章」が使用されています。これらの曲は、かつてテレビ和歌山のアナログ放送時代のクロージング音楽としても使用されていました。

毎週水曜日にはFM TANABEと回線を繋ぎ、同時生放送も行っています。また、2011年6月からはSimulRadioに参加し、インターネットラジオも開始しました。

革新的な取り組み

バナナFMは、コミュニティFM局として、以下のような革新的な取り組みを行っています。

アプリ
全国初の試みとして、リスナーが自分の声を録音して送信し、番組内で放送するアプリを開発・提供しています。
防災協定
和歌山市と防災協定を締結し、災害発生時には市内の防災無線が自動的にバナナFMに切り替わり、同じ内容が放送されるシステムを構築しています。
緊急告知ラジオ
緊急告知ラジオを自社開発し販売。災害発生時に自動で電源が入り、大音量で防災放送を受信できる仕組みを提供しています。
AIアナウンサー
人工知能（AI）を活用したアナウンサー「ナナコ」と「八太郎」を導入し、ニュース、天気予報、音楽番組などを放送しています。災害時には、多言語（日本語・英語）での情報提供も可能です。

AIアナウンサー

AWSのAmazon Pollyを活用し、ニュースや天気予報の文章取得から推敲、再生までを自動化。人的要因で放送が困難な時間帯を中心に、AIアナウンサーによる放送を行っています。

災害時には、ディレクター1名で放送が可能となり、24時間災害情報をアナウンスし続けることができます。これにより、深夜や早朝でも常に災害情報をリスナーに届けることができ、従来のラジオのあり方を変える試みとして注目されています。

スタジオ

バナナFMは、複数のスタジオを所有しています。

1階：ミュージックスタジオ（音楽演奏番組や収録に使用）
2階：スウィートスタジオ（番組収録や生番組に使用）
* 3階：バナナスタジオ（ニュース、天気予報、交通情報などの生放送に使用）

この他、紀三井寺寺務所内、休暇村紀州加太内、高野山観光協会内などに簡易サテライトスタジオを設置。岬町道の駅夢灯台には公開サテライトスタジオ、トリプルセブン ようへいにはセブン サウンド サテライト スタジオがあります。さらに、太地町を中心に紀南のイベントなどをレポートする南紀サテライトスタジオや、移動中継車COMET STUDIOも活用しています。

受賞歴

バナナFMは、日本コミュニティ放送協会（JCBA）近畿地区協議会において、数々の賞を受賞しています。地域に根ざした番組制作や放送活動が評価されています。

また、総務省からも平成30年度電波の日近畿総合通信局長表彰を受けています。

バナナFMは、地域に密着した情報発信と、革新的な取り組みを通じて、和歌山県のコミュニティ放送を牽引する存在として、今後も発展が期待されます。

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