コミュニティ放送

コミュニティ放送（community broadcasting）

コミュニティ放送は、日本において特定の市町村またはその周辺地域に向けた超短波放送の形式です。この放送は主に市民参加を促進し、地域情報の発信や防災などに特化しています。

定義と特徴

法律上、コミュニティ放送は「超短波放送による地上基幹放送のうち、一の市町村の全部若しくは一部の区域において受信されることを目的として行われるもの」と定義されています。このため、放送対象地域は従来の広域放送や県域放送よりも狭く、地域に密着した内容が求められます。

特にコミュニティ放送の特長には、「地域密着」「市民参加」「防災および災害時の放送」が挙げられます。設立経費が市町村防災行政無線に比べて大幅に低いため、多くの地方自治体が第三セクターを利用して放送事業に参入しています。

技術的要件

コミュニティ放送局は、電波法に基づいて地上基幹放送局の免許を取得する必要があります。放送の用途を示すコードは「CFM」と定義されていますが、便宜上「cFM」と呼称されることもあります。空中線電力は原則20W以下ですが、特例として一部の局は80Wや50Wで運用されています。これにより、地域内での難聴区域に対する対策として中継局が必要です。

コミュニティ放送局では、無線従事者が資格を持ったうえで運用され、記載された法令に基づいて運営されます。これにより、放送内容の維持や品質管理が行われているのです。

自主制作番組

多くのコミュニティ放送局では地域の住民がパーソナリティを務める自主制作番組が放送されています。音楽や地域イベント、スポーツ中継などがあり、さらに地元議会の中継を行う局も存在します。市民の声を反映させる体制が整っているため、地域に根ざした情報の伝達が期待されています。

災害情報の提供

コミュニティ放送は災害時において重要な役割を果たしています。具体的な事例としては1995年の阪神大震災で、外国人に向けた災害情報提供が評価されました。その後も、様々な災害で地域住民へ向けた迅速な情報発信が行われ、ラジオの明瞭な音声が防災無線に代わる有力な手段として位置づけられています。

経営形態と課題

コミュニティ放送の経営形態は主に株式会社や特定非営利活動法人が主体です。地方自治体の関連部門やケーブルテレビの子会社も参加しています。ただし、経営基盤が弱い局もあり、経営難からの閉局例も見られるため、持続可能な運営が課題となっています。

また、他局とのネットワーク形成が進んでおり、プログラムの再送信や共同制作が行われることで、地域を超えた情報の流通が実現しています。

まとめ

コミュニティ放送は地域住民にとって不可欠な存在であり、地域情報の発信や災害時の迅速な情報提供を行っています。市民が参加できる放送形態として、今後もその役割は重要であり続けるでしょう。

もう一度検索