エマオ

エマオとは

エマオ（Emmaus）は、新約聖書のルカ福音書に記述される町で、復活したイエス・キリストが弟子たちの前に現れたとされる場所です。この出来事は「エマオへの道」として知られ、聖書の中でも重要なエピソードの一つです。エマオの具体的な場所については、歴史的にいくつかの候補地が挙げられていますが、いずれも特定には至っていません。

エマオの場所

ルカ福音書には、エマオがエルサレムから一定の距離にあると記されています。その距離は写本によって異なり、60スタディオンまたは160スタディオンとされています。スタディオンは古代の距離の単位であり、その解釈や定義も曖昧であるため、正確な距離を特定するのは困難です。現在、有力な候補地としては、ヨルダン川西岸にあるイムワスとアル・クベイバが挙げられています。

エマオの晩餐

ルカ福音書によると、イエスの受難後、二人の弟子（クレオパと名前の分からないもう一人）がエルサレムからエマオへ向かう途中、復活したイエスが現れて彼らと会話をしました。しかし、弟子たちはイエスが誰であるか認識できませんでした。エマオに到着すると、二人はイエスを夕食に招き入れます。そして、イエスがパンを祝福して割き、彼らに渡した瞬間、弟子たちの目が開かれ、イエスだと気づきました。しかしその直後、イエスの姿は消え失せました。このエピソードは「エマオの晩餐」として知られ、後世の宗教画の題材としても多く用いられ、カラヴァッジョなど、数々の画家によって描かれてきました。

他の福音書での言及

エマオの出来事は、マルコ福音書にも類似の話が記載されていますが、マルコ福音書では弟子たちがどこに向かっていたのかは明記されていません。また、マタイ福音書とヨハネ福音書ではエマオについての記述はありません。

エマオにちなんだ施設・団体

エマオという名前は、聖書の出来事にちなんで、様々な施設や団体にも使用されています。

エマウス：1949年にアベ・ピエールによって設立されたホームレス支援のための協会で、リサイクル品の販売を通じて活動しています。
日本基督教団 東北教区センター「エマオ」：宮城県仙台市にあるキリスト教関連施設です。
* 長坂エマオキリスト教会：山梨県北杜市にあるキリスト教会です。

これらの施設や団体は、エマオの物語が持つ「出会い」「気づき」「変革」といったテーマを体現していると言えるでしょう。

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